研究課題
強皮症のモデルマウスであるSclerodermatous GVHDマウスは、マイナー組織適合抗原が不一致であるB10.D2(H-2d)マウスの骨髄と脾臓 細胞を、放射線照射されたBALB/C(H-2d)マウスに移植することによって誘導した。CD19欠損マウスは遺伝的にIL-10産生regulatory B 細胞を欠損しているため、regulatory B細胞の解析に有用である。CD19欠損B10.D2マウス(ドナーマウス)およびCD19欠損BALB/Cマウス(レシピエントマウス)を用いてregulatory B細胞の役割を解析した。CD19欠損B10.D2マウスの骨髄および脾臓を、放射線照射されたBALB/Cマウスに移入(ドナーがregulatory B細胞を欠損)したところ、コントロール群に較べより重症のSclerodermatous GVHDを発症した。また、線維化の部位の細胞浸潤を検討したところ、コントロール群に比べCD19欠損ドナー群ではIL-13産生T細胞の増加が認められた。平成26年度は、CD19欠損B10.D2マウスをドナーとして使用(ドナー由来のregulatory B細胞だけが欠損している)したSclerodermatous GVHDマウスにregulatory B細胞(CD1dhiCD5+ B細胞)と他のB細胞(CD1dloCD5- B細胞)をそれぞれ骨髄移植と同日に移植したところ、regulatory B細胞(CD1dhiCD5+ B細胞)を移植した群ではSclerodermatous GVHDの改善効果が認められた。しかしながら、骨髄移植後21日目にregulatory B細胞(CD1dhiCD5+ B細胞)を移植しても、Sclerodermatous GVHDの改善効果は認めなかった。以上の結果より、regulatory B細胞はSclerodermatous GVHDの発症早期において抑制効果を有していること、さらにはSclerodermatous GVHDおよび強皮症に対するregulatory B細胞を用いた治療の可能性が示された。
3: やや遅れている
当初、Sclerodermatous GVHD におけるregulatory B細胞の抑制機序の解明のため、ex vivoの実験予定であったが、マウスの繁殖が当初の予定通り進まなかったため実験計画よりもやや遅れている。
現在、マウスの繁殖は順調に進んでおり次年度は計画通り進められる。次年度は、Sclerodermatous GVHD におけるregulatory B細胞 の抑制機序の解明のex vivoの実験を行う予定である。
本年度はマウスの繁殖が予定通り進まなかったため実験計画に遅れが生じ使用額が予定以下となった。予定していた支出のうち、マウス維持費などが支出されなかった。
現在、マウスの繁殖は予定通り進んでおり次年度に実験を多く行うため、次年度研究費とあわせてフローサイトメトリー抗体、Real-timePCR試薬の購入やマウス維持費に使用する予定である。
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