研究課題/領域番号 |
25461688
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小川 英作 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (20451586)
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研究分担者 |
木庭 幸子 信州大学, 学術研究院医学系(医学部付属病院), 講師 (20436893)
奥山 隆平 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80292332)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / AhR |
研究実績の概要 |
当該研究は環境因子によるアトピー性皮膚炎の発症メカニズムを解き明かすことを最終目標として、AhRに着目して解析している。 初年度は、in vitroにて、マウス培養表皮細胞を用いた解析を中心に行った。AhRを活性化もしくは抑制させることにより、変化した因子の中に、TSLPやIL33というアトピー性皮膚炎で変化するサイトカインを認めた。免疫担当細胞についても樹状細胞が関与していることがわかった。 今年度は、in vivoにて、AhRが表皮で活性化したトランスジェニックマウスを用いて検討をした。免疫染色にて、TSLPやIL33が上昇していることがわかった。樹状細胞も真皮に多数浸潤していることがわかった。このマウスの皮膚のサンプルよりRNAを抽出し、定量的PCR法で解析をした。そうすると、Th2反応時に上昇するサイトカインである、IL4、IL5、IL13の上昇を認めた。つまり、AhRが表皮で過剰に活性化すると、TSLPやIL33が増加すると同時に、Th2反応に強く関連する抗原提示細胞の樹状細胞が増加し、関連サイトカインが増えることが示された。 現在は、基礎データが得られつつあるため、実際にヒトでは実証されるかについて、特にAhRの下流の因子である、CYP1A1やCYP1B1、NQO1が上昇しているかどうかを確かめる実験を続けている。そのため、ヒトのサンプルを用いて、免疫染色や定量的PCR法を用いて、検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、マウスで私の仮説を実証してきた。今年度は特にヒトの組織を用いた解析を主体に取り組んでいる。アトピー性皮膚炎と他の炎症性皮膚疾患、健常皮膚の検体を集積している。そして、AhRは転写因子であるため、その下流因子の活性について、免疫染色法を用いて検討している。特にCyp1a1について、行っている。これらは研究計画におおむね沿っていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
AhRの活性が上昇することで、直接Th2反応を惹起し、皮膚炎を発症するということが、マウスを用いた実験で実証されてきたと思われる。 今後は現在行っているヒトで実際にこの仮説が有効かについて、注意深く検証を重ねなくてはならない。アトピー性皮膚炎やその他の炎症性皮膚疾患、また正常皮膚でのサイトカインの比較を続ける。そのためには、皮膚サンプルを得て、免疫染色をしたり、RNAを抽出して定量的PCR法で、AhRの下流因子やTh2反応の関連するサイトカインの比較検討を重点的にする必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
現時点では、免疫染色用の抗体やTaqman法を用いたqPCR用のプライマーについて、当初計画したもののすべてを購入していない。これまでは特にマウス用のものの購入が多く、今後、ヒト用の複数の抗体やプライマーを購入するために繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、平成27年度の請求額とあわせて、今後、ヒト用の、AhR関連の抗体として、Cyp1a1, Cyp1b1, Nqo1などやTh2のサイトカインであるIL33, TSLP, IL4, IL5, IL134などの抗体やプライマーを購入する。
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