研究課題
基盤研究(C)
薬疹は薬剤がHLA分子に結合することで、そこに結合する自己ペプチドが入れかわることで、免疫を惹起する偽性の自己免疫反応と考えられる。この研究はK5-mOVA X OT-Iダブルトランスジェニックマウスという、自己反応性T細胞を持つにもかかわらず、自己免疫疾患を発症しない動物において、改変ペプチドと薬剤の組み合わせで自己免疫反応を惹起することで、薬疹の動物モデルを樹立する研究である。マウスに薬剤を投与して自己免疫がおきるかを検討するには多数の実験動物が必要となるため、まずin vitroで薬剤をスクリーニングして、in vivoでの誘導に用いる計画である。平成25年度は改変ペプチドと薬剤の組み合わせのスクリーニングを行う。OT-I マウスの脾細胞に、OVA由来のMHC class Iリガンド段階希釈して添加し、インターフェロンγ産生細胞の割合をプロットしする実験系は確立でき、SIINFEKLペプチドを添加した場合、90%の細胞が産生するとても効率のよい実験系であることがわかった。また改変ペプチドとSIINFEKLとの差がもっとも大きくなる添加濃度もわかり、いくつか使用するペプチドを限定することにした。さらにこの実験系にヒトで薬疹を起こすことが知られる薬剤を添加して培養することで、数十種類の薬剤のスクリーニングを行っている。現在までのところ、T細胞の活性化に影響する薬剤はまだ見いだせていないが、多数の薬剤の候補があるため順次添加予定である。K5-mOVA X OT-Iダブルトランスジェニックマウスを交配により作成した。
2: おおむね順調に進展している
スクリーニング予定の薬剤は多数あるため、標的の薬剤を見いだすのに時間を要しているが、実験系そのものは、予定通り確立できている。
薬剤のスクリーニングをすすめていくと同時に、組み合わせるペプチドについてもより効率のよい候補の選択を工夫していく予定である。
合成ペプチドを用いた解析を開始する前に、インターフェロン産生細胞を検出する実験系の確立に時間を要したため、マウスの購入維持や合成ペプチドの作製に関する費用の総量が当初予定より少なくなった。合成ペプチドを用いた解析は開始しているため、本年度に使用予定であったマウスの購入維持や合成ペプチドの作製の支出を一部次年度に持ち越したが、順次すすめていくため、本年度予定していた支出とあわせて使用する予定である。
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