研究実績の概要 |
牛肉アレルギーの主要抗原エピトープは糖鎖galactose-α-1, 3-galactose (α-Gal)であり、牛肉アレルギー患者では、好塩基球活性化マーカーCD203cが、アレルギー症状を発症していない時でも持続高値を示す。この機序を解明する目的で、牛肉アレルギーの発症機序の解明を試みた。 感作原因としてのマダニ咬傷の関与を検討する目的で、日本紅斑熱の媒介優勢種であるフタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)の唾液腺を解析したところ、α-Gal糖鎖の存在を証明することが出来、牛肉アレルギー患者の血清中IgEはフタトゲチマダニ唾液腺抽出蛋白質に結合した。このことから、本邦において、フタトゲチマダニに咬まれることによって、マダニ唾液腺中のα-Gal含有蛋白質に対するIgE抗体が産生されて、牛肉アレルギーを発症し得ることが証明された。つまり、マダニ咬傷によって、好塩基球の持続活性化が生じ得ることが判明した。 さらに、申請者は、Pork-cat syndrome患者においても、好塩基球の持続活性化がみられることを証明した。 牛肉アレルギー患者は、同じくα-Galを有する抗悪性腫瘍薬のセツキシマブに対してもアレルギーを発症することが分かっており、これらの発症機序を解明することによって、今後生物種を超えたアレルギーの病態の解明を行うことが出来ると考えられる。
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