研究課題/領域番号 |
25461700
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
山本 真有子 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (20423478)
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研究分担者 |
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (20403892)
中島 英貴 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (70314995)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (80273621)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 尋常性乾癬 / ランゲルハンス細胞 |
研究概要 |
1) 乾癬モデルマウスであるK5.Stat3CマウスとランゲリンDTRノックインマウス(langerin-eGFP-DTR)を交配したK5.Stat3C:langerin-eGFP-DTRマウスにおけるTPA外用による乾癬様皮疹の誘導について検討した。まず、K5.Stat3C:langerin-eGFP-DTRマウスにジフテリア毒素1000ngを腹腔内投与すると、表皮内および真皮のランゲリン陽性細胞が消失することを皮膚組織の免疫染色および、表皮、真皮、皮膚所属リンパ節におけるFACS解析により確認した。K5.Stat3C:langerin-eGFP-DTRマウスをジフテリア毒素投与群と非投与群に分け、各々耳介にTPAを塗布し、耳介厚さと組織学的な表皮肥厚の程度を計測したところ、ジフテリア毒素投与群では非投与群と比較して表皮肥厚の誘導をほぼ完全に抑制した。 2) real time RT-PCR法でTPA外用により誘導された乾癬様皮疹における免疫系の解析を行った。K5.Stat3C:langerin-eGFP-DTRマウスをジフテリア毒素投与群と非投与群に分け、各々耳介にTPAを塗布して誘導した乾癬様皮疹からm-RNAを抽出し、real time PCR法で解析した。ジフテリア毒素投与群では非投与群と比較して、IL-17A、IL-17F、S100A8、BD3の発現の低下を認めた。 以上のことより、K5.Stat3Cマウスにおいて、ランゲリン陽性細胞を消失させるとTPA外用による乾癬様皮疹の誘導がほぼ完全に抑制されることが確認できた。さらに、K5.Stat3Cマウスの乾癬様皮疹において発現が増強するIL-17A、IL-17F、S100A8、BD3は増強がみられなかったことより、ランゲルハンス細胞が乾癬の病態における自然免疫の変調に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
K5.Stat3Cマウスにおいて、ランゲリン陽性細胞を消失させるとTPA外用による乾癬様皮疹の誘導がほぼ完全に抑制されることが確認できた。さらに、K5.Stat3Cマウスの乾癬様皮疹において発現が増強するIL-17A、IL-17F、S100A8、BD3は増強がみられなかった。ランゲルハンス細胞が乾癬発症に関与していることを示唆しており、乾癬の病態における自然免疫の変調に役割を果たしている可能性がある。ランゲルハンス細胞の乾癬様皮疹形成への関わりを明らかにするという本研究の目的を果たすための基本的データを出すことができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
1)乾癬病変成立におけるランゲリン陽性細胞の機能について解析する。 2)もう一つの乾癬モデルマウスであるK5.SPT KOマウスとlangerin-DTRノックインマウスを交配したマウスを用いて、K5.SPT KOマウスで自然発症する乾癬様皮疹が、ランゲルハンス細胞の消失により影響をうけるか否かを検討する。このマウスにおける自然免疫系の変化をreal time PCR法で解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度では、マウスの管理、病理組織標本作製やreal-time PCRに用いたプラスチック器具や各種試薬などの物品費が主体となったため、使用経費が抑えられたことが理由として挙げられる。 引き続きマウスの管理やランゲリン陽性細胞の機能について解析に必要な試薬、K5.SPT KOマウスにおける自然免疫系の変化をreal time PCR法で解析するための試薬、プラスチック器具の購入に多くの経費が必要となる。また、得られた成果の発表や情報収集のため学会に参加する旅費に使用する予定である。
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