悪性黒色腫は最も悪性度の高い皮膚癌であり、進行すると有効な治療法がなく、致死的である。近年、悪性黒色腫の罹患率の増加と皮下、内臓脂肪組織の増加を基盤とする肥満との関連が疫学的に示唆されているが詳細は不明であった。我々が確立した脂肪組織のコラーゲン・ゲル器官培養系を用いた検討では、皮下脂肪組織が、悪性黒色腫細胞の増殖を高度に促進することを見出した。さらに、内臓脂肪組織は悪性黒色腫細胞の浸潤能とメラニン産生に寄与する可能性を見出した。本研究により、脂肪組織は悪性黒色腫の細胞動態に深く寄与することが明らかとなった。その制御機構の解明によって新規分子標的治療薬の開発が期待できる。
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