研究課題/領域番号 |
25461703
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
松下 茂人 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター(臨床研究部), その他部局等, その他 (30380778)
|
研究分担者 |
池田 龍二 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (50398278)
金蔵 拓郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70177509)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 有棘細胞癌 / 乳房外パジェット病 / チミジンホスホリラーゼ / フッ化ピリミジン系抗がん剤 |
研究実績の概要 |
皮膚がんの中で有棘細胞癌 (SCC) 、乳房外パジェット病 (EMPD) は、進行すると遠隔転移を来し致命的となる。近年、進行期SCC・EMPDの転移巣に対して、フッ化ピリミジン系抗がん剤である5-FUやそのプロドラッグであるS-1の効果が期待できる報告が散見されている。 チミジンホスホリラーゼ (TP) はフッ化ピリミジン系抗がん剤の代謝酵素で、SCCをはじ め多くの上皮系腫瘍で発現が亢進している。研究者らは過去に、5-FUによる抗腫瘍効果をTPが増強し、TP を介した5-FUの血管新生抑制作用にthrombospondin-1 (TSP-1) の発現が関わることをin vitroの研究で明らかにした。 本研究は、進行期SCC・EMPDにおいて、フッ化ピリミジン系抗がん剤治療でのTPの関与、血管新生阻害効果・機序の解明を行い、フッ化ピリミジン系抗がん剤治療の効果予測因子を同定して、新規化学療法レジメンの確立と個別化への応用を目指すことを目的としたものである。 またいっぽうで、遠隔転移した進行期EMPDに対してフッ化ピリミジン系抗がん剤と併せて、タキサン系抗がん剤が使用され、その効果が認められることを研究者は報告しており、本報告例の腫瘍細胞にTPが強発現していることを免疫染色で確認している。TPはタキサン系抗がん剤によって誘導されるという過去の報告もあり、進行期SCC・EMPDに対するフッ化ピリミジン系抗がん剤+タキサン系抗がん剤併用療法の確立に向けた観点からもTPについての検討を行なう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚がんに対する化学療法の個別化を目指して、進行期のSCCやEMPDにおけるフッ化ピリミジン系抗がん剤の臨床的効果とTPの関与を検証する目的で、A.フッ化ピリミジン系抗がん剤単独治療群, B.フッ化ピリミジン系抗がん剤とタキサン系抗がん剤の併用群, C. フッ化ピリミジン系抗がん剤とタキサン系抗がん剤以外の併用群に群分けして、TPおよびフッ化ピリミジン系抗がん剤の代謝に深く関与しているThymidylate Synthetase(TS)の発現を免疫組織化学的(免疫染色)に確認している。現在他施設からの検体供与を提案することを考慮している。
|
今後の研究の推進方策 |
SCC、EMPDにおけるTPの発現頻度と酵素活性を測定し、遠隔転移を来した症例に対する、フッ化ピリミジン系抗がん剤(5FU, S-1など)の臨床的効果、抗がん剤感受性試験の結果や治療前後でのTPの発現やEgr-1, TSP-1, 腫瘍内新生血管数の変化について検証する。また、TP高発現細胞株を用いてTPによる5-FUの効果増強作用効果を動物実験で確認するとともに、タキサン系抗がん剤でのTPの誘導、タキサン併用効果の可能性を動物実験で検討する。さらにTP発現株に対する5-FU処理におけるTSP-1以外の血管新生抑制因子の解析していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の残額を充当したため、使用計画通りに支出がなされなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度以降は当初計画書通りに予算を執行する。
|