研究課題/領域番号 |
25461706
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
相原 道子 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90231753)
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研究分担者 |
五嶋 良郎 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00153750)
出原 賢治 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270463)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | セマフォリン3A / ペリオスチン / アトピー性皮膚炎 / コラーゲントリペプチド |
研究概要 |
本研究では、アトピー性皮膚炎(AD)およびそう痒性皮膚疾患において、コラーゲントリペプチド(CTP)および低分子ヒアルロン酸の効果をヒトおよび培養細胞を用いて明らかにすることを目的とした。さらに、慢性そう痒性皮膚疾患におけるペリオスチンと神経表皮内神経伸長に関わる因子(Sema3A、NGF)との関係について明らかにすることを目的とした。 1. CTPがケラチノサイトに及ぼす効果を明らかにするため、培養ケラチノサイトにCTPを炎症性サイトカインやTh2サイトカインとともに添加し、培養細胞の炎症性サイトカインや神経成長因子(NGF)および神経反発因子であるセマフォリン3A(Sema3A)産生に及ぼす影響を検討した。その結果、CTPはTh2サイトカインの産生を抑制したが、NGFおよびSema3A産生には有意な影響はみられなかった。アトピー性皮膚炎患者における4週間経口投与効果の検討は、現在濃度を変えてダブルブラインドで進行中である。低分子ヒアルロン酸の効果は培養細胞においてTh2サイトカインの産生への影響が傾向として観察されたが有意な差としては見られず、乾燥皮膚への4週間投与では、グリセリン単独塗布と違いがみられなかった。 2. アトピー性皮膚炎患者における血液中ペリスチン値と臨床症状との関係について検討し、慢性炎症および難治化の指標となることを学会および論文報告した。次に、ペリオスチンと表皮細胞のSema3AとNGF産生との関係について明らかにするため、培養ケラチノサイトにリコンビナントペリオスチンと炎症性サイトカインを同時に添加し、その影響を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アトピー性皮膚炎の難治化およびかゆみの著しい痒疹におけるペリオスチンの関与については患者血清や皮膚を用いた結果が既に英文論文となった。現在はかゆみの神経伸長に関する因子とペリオスチンの関係についてリコンビナントペリオスチンを用いた培養細胞の反応についてのデーターを蓄積中である。コラーゲントリペプチドの効果については培養ケラチノサイトを用いた研究で有意な結果が得られており、順調に進行している。低分子ヒアルロン酸については有意な効果発現は人および培養細胞、動物実験で明らかにできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ペリオスチンの研究は今後リコンビナントペリオスチンを用いた添加実験を進めるとともに、トランスフェクションにより強制的にペリオスチンを発現させた細胞を用いてかゆみに関する因子(NGF, Sema3A)とペリオスチンの関係について実験を進める。 コラーゲントリペプチドの効果については培養ケラチノサイトを用いた研究が進行中で有り、今後は培養線維芽細胞を用いた実験に発展させる予定である。 低分子ヒアルロン酸については有意な効果発現は人および培養細胞、動物実験で明らかにできなかったことから、今後はコラーゲントリペプチドに絞って実験を進行させていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養実験の準備に手間取り、培養上清のサイトカインを測定する予定が数ヶ月遅れたため測定キットの購入の一部分が翌年度に持ち越しとなった。 培養細胞を用いた実験において、培養上清のサイトカインを測定するキットに充てる予定。
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