前年度までにケラチノサイトにおいてIL-33をノックダウン(KD)すると細胞分裂の異常が起こり、2核の細胞が増えることを明らかにした。本年度は、KD細胞を顕微鏡にてタイムラプス撮影を行い、細胞分裂の様子を観察した。撮影間隔、撮影時間等の条件を検討した後、コントロール細胞並びにIL-33KD細胞の撮影を行い、比較検討した。その結果、IL-33KD細胞では分裂しようとするが、最終的に細胞質の分裂がうまく行かず、娘細胞が分離しないことが明らかとなった。 また、ケラチノサイトにおけるIL-33の誘導について更に検討を行った。STAT3を主に活性化するOncostatinM(OSM)にて刺激すると、IFNγ(STAT1)同様に濃度、時間依存的にIL-33を誘導した。そしてその発現はドミナントネガティブSTAT1では抑制されず、ドミナントネガティブSTAT3で抑制された。これらのことから、ケラチノサイトにおいては、IL-33の誘導にはSTAT1及びSTAT3いずれのシグナルも重要であることが解った。 そして、乾癬とIL-33との関係を調べるため、イミキモド誘導性乾癬モデルマウスについて検討を行った。用いたマウスはIL-33ノックアウト(KO)マウスとST2トランスジェニック(Tg)マウス、及びそれらの野生型マウスである。これらのマウスにイミキモドクリームを毎日塗布し、耳介厚を比較したところ、3日目からvehicleと比較して塗布により厚くなり始めた。これはいずれのマウスにおいても差は無かった。しかし、7日目において、IL-33KO及びST2Tgマウスでは前日と比較して、また野生型と比較して、厚みが減少した。またこの時、野生型及びST2Tgマウスにおいて、IL-33が誘導されることを免疫染色にて確認した。
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