研究課題/領域番号 |
25461716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
安齋 眞一 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10159519)
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研究分担者 |
内藤 善哉 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20237184)
工藤 光洋 日本医科大学, 医学部, 講師 (20256978)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ケラトアカントーマ / プロテオミクス |
研究概要 |
平成25年度は、まず、臨床的に単発性ケラトアカントーマ:Solitary keratoacanthomaと診断された症例が実際にどのような病理組織学的診断となったかの検討、及び、良性のケラトアカントーマ(keratoacanthoma:KA)、悪性転化を伴うケラトアカントーマ(keratoacanthoma with malignant formation :KAM)、ケラトアカントーマ様有棘細胞癌(Keratoacanthoma like Squamous cell carcinoma :KASCC)、それぞれについて、病理組織学的診断基準を再確認した。この検討については、約400例のケラトアカントーマの構築を持つ腫瘍を用いて検討している。この結果に関しては、できるだけ早い時期にまとめ、学会及び論文発表を行う予定である。 さらに、KASCC及びKAM (KASCC+KAM群)とActinic keratosis がベースのSquamous cell carcinoma (SCC-A群)のFFPE組織からタンパク質を抽出し、質量分析法にて、両群におけるタンパク質発現量を比較解析し、それらのバイオマーカー候補の探索を試みた。今回は、同定されたタンパク質のなかで、KASCC+KAM群で発現が高値を示したmitogen-activated protein kinase 4 (MAPK4)について免疫組織化学的に、発現や局在を検討した。両群において、非浸潤部に比べ、浸潤部においてMAPK4の染色強度が有意に高値を示した。さらに、MAPK4強陽性領域とKi67強陽性領域が同一の領域に認められることより、MAPK4が細胞増殖や浸潤に関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KA、KAM、KASCCの病理組織学的診断基準を作成することに関しては、概ね順調に進行している。ただし、当初想定していた疾患の診断区分とは近年の病理組織学的診断の考え方の変化により、若干その診断名が変化している。症例の収集に関しては、すでに各疾患、数十から数百例の標本を確保している。 FFPE組織からのタンパク質抽出と質量分析計によるタンパク質の同定に成功している。また免疫組織化学的解析により質量分析結果のvalidationも行っており、MAPK4の発現様式など、皮膚疾患領域において新たな知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、KA群を加えることで、KA群、KASCC+KAM群、SCC-A群の3群において、症例数を増やして、解析を進める予定である。 さらに、SCC培養細胞株を用いた候補分子のタンパク質発現、遺伝子発現に関する実験も予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
プロテオミクスによる、鑑別のために有用な蛋白質の決定に時間を有しているため、症例の選別が予定より遅れている。そのため、免疫組織化学染色関連費用や標本作製関連費用の支出が予定より少なくなっているためである。 今年度には、多数例による免染ができる見通しとなってきたため、免疫組織化学染色関連費用や標本作製関連費用が増大する予定である。
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