研究課題/領域番号 |
25461717
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯田 真智子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60465515)
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研究分担者 |
武田 湖州恵 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (80345884)
大神 信孝 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80424919)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 加齢性疾患 |
研究実績の概要 |
疾患の発症には、遺伝的要因、環境的要因に加え、加齢が大きく関与することが様々な研究成果により明らかにされている。しかしながら、そのメカニズムについては不明な点が多いのが現状である。そこで、本研究では、当研究室オリジナルの加齢性疾患モデルを用いて、加齢による疾患発症メカニズムを明らかにすることを目的とした。昨年度までに、若齢マウスと高齢マウスにおいて、エイジング促進遺伝子の発現量が高齢マウスにおいて有意に増加しており、一方で、加齢に伴って減少する分子が存在することを突き止めた。統計学的な解析により、これらの遺伝子発現の変化には、負の相関があることが分かった。本年度は、これらの分子の加齢性疾患における影響を明らかにするために、人為的に加齢を促進させた組織を作製し、これらの遺伝子・タンパク質の発現レベルを調べた所、加齢性疾患モデルマウスと同様の遺伝子発現変化を認めた。これらのことから、これらの分子は、加齢性疾患の発症メカニズムにおけるキーファクターである可能性が示唆された。そこで、次にこれらの分子の生理学的機能を明らかにするために、過酸化水素により、培養細胞に老化を誘導した培養細胞を用いた実験を行った。本研究により明らかになったエイジング促進分子と負の相関をもって発現が減少する分子は、分泌タンパクとして知られている。そこで、ELISA法により、エイジング促進前と促進後の培養液を回収し、ELISA法により、その分泌量の比較を行った。その結果、予備検討の段階ではあるが、興味深い事に分泌量についても有意な発現低下が認められた。分泌タンパクであることから、オートクライン・パラクライン等で周囲細胞に影響を及ぼしている可能性が示唆される。今後、周囲細胞への影響の解析を進めることによって、加齢性疾患の分子メカニズムのさらなる解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、実験装置の不具合により若干の遅延を生じたが、繰り越した補助金により、研究補助員の動員日数を増加することで、本年度その遅れをリカバリーできた。そのため、当初の予定通りに概ね順調に計画が進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果として、動物レベルおよび培養細胞レベルで加齢性疾患の発症に寄与する可能性の高い分子を見いだすことに成功した。さらに、その生理機能として分泌性に自己および周囲細胞に影響を及ぼしている可能性が見みいだされた。今後は、これらの分子の生理学的機能について、さらに解析を進めるとともにヒトの加齢性疾患との類似性を検証することで、加齢性疾患の発症メカニズムに迫る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
培養細胞のセットアップに想定以上に時間を要したため、ELISA試験の再現性実験に使用予定であった予算を次年度に繰り越す必要があった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に繰越した予算にてELISAの再現性実験を行う。尚、試験法は確立しているので、次年度に実験を繰越しても十分挽回可能である。実験計画は予定通り遂行可能である。
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