研究概要 |
1)TNP-IgEトランスジェニックマウスの耳介にTNO-OVAを反復投与することにより約1か月以上持続する慢性皮膚炎症反応を誘導した。また同様の反応を背部皮膚に惹起したところ丘疹性病変が形成され、痒疹反応に類似する病変が誘導されることがわかった。病変部は組織学的に不規則な表皮肥厚、好酸球、単核細胞、そしてマスト細胞の浸潤からなっていた。さらに表皮内への神経線維の伸長が確認された。組織中の好塩基球は少数であったが、好塩基球の除去により炎症がほぼ消失したことから好塩基球依存性反応であることが示された。さらに病変部のサイトカインプロフィールではIL-4, IL-13, IL-5などのTh2型反応が優位であり、またIL-17, IL-22, IL-31といったサイトカインも産生されていることが示された。マウスの掻破行動を観察したところ、病変部への後肢による自発的掻破が確認され、この病変はそう痒性病変であることも確認された。 2)ヒト結節性痒疹および多形慢性痒疹病変部において表皮内へのPGP9.5陽生神経線維の伸長を免疫組織学的に確認した。現在、その機序をamphiregulin, semaphorin 3A, IL-33, TSLP発現などの面から検討中である。 3)痒みにおけるERK1およびERK2の関与を検討するため、現在nav1.8 cre transgenic miceとERK欠損マウスとの交配を継続中である。
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