研究課題
関東近郊に在住の約320名の成人サンプルを対象に、環境ストレス(SRRS:Social Readjustment Rating Scale)とうつ症状(CES-D)の交互作用について、全ゲノムワイド(genome-wide association study: GWAS)での関連解析データを用いて関連部位の探索を行い、染色体10q25に位置するRGS10遺伝子上の多型が全ゲノムレベルで有意差が示唆された。さらに、RGS10領域について、今回新たに収集したサンプル集団(n=430名)を対象として、ABI社製PRISM 7900HTを用いたTaqMan法で遺伝子タイピングを行い、同様の遺伝・環境相互作用を見出し、この結果を国際誌へ投稿し、受理された(Plos One11(8):e0160823, 2016)。また、環境要因の影響を考慮し、全ゲノムDNAメチル化解析を47名に対してIllumina社製HumanMethylation450 Beadchipを用いて網羅的に行った。対象者のうち、CES-D得点が16点以上をうつ症状ありとして、うつ症状あり群20名とうつ症状なし群27名に分け、メチル化量を比較した結果、うつ状態群は健常群に対し、全体的に低メチル化傾向であることが分かった。最も有意な差がみられた部位は2番染色体領域のCpG Islandに位置していた(P=8.13E-06)。上位100プローブ上に位置する遺伝子について、パスウェイ解析を行ったところ、神経細胞接着因子に関係する遺伝子群が抽出された。以上の結果の一部を国際学会(ASHG 2016)で報告した。さらに今後は、うつ状態に関係するメチル化変化について得られた結果を国際誌へ投稿予定としている。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Plos One
巻: 11 ページ: e0160823
10.1371/journal.pone.0160823