研究課題
統合失調症の発症に大きな効果をもつ稀なリスク変異を同定することが、本研究計画の目的である。本研究計画は、新潟大学医学部遺伝子倫理審査委員会および各共同研究機関の倫理委員会で承認されており、対象者からは書面にて研究参加の同意を得た。複数の罹患者がいる家系には統合失調症の発症に大きな効果をもつ稀なリスク変異が存在する可能性が高い。そこで、統合失調症罹患同胞対・両親3家系の全エクソン解析を実施し、各家系内で罹患同胞2人が共有する稀な短縮型(ナンセンスまたはフレームシフト)変異を15個同定した。これら15個の変異が、特定の家系のみでなく一般に統合失調症の発症リスクに大きな効果を有していることを確認するため、3つの症例・対照サンプル(症例2617・対照2396)を用いた3段階関連解析を行った。全エクソン解析により同定された15個の短縮型変異のなかで、13個が1次サンプルでTaqMan法によるタイピングが可能だった。1次サンプルで症例群に多く認められた4個の変異を2次サンプルでタイピングした。2次サンプルで症例群に多く認められた4個の変異を3次サンプルでタイピングした。これら4個の変異と統合失調症との関連は全サンプルにおいても有意ではなかった。統合失調症罹患同胞対・両親3家系の全エクソン解析により同定された稀な短縮型変異が統合失調症の発症に関与している可能性は支持されず、統合失調症の発症に大きな効果をもつまれなリスク変異の同定には至らなかった。
すべて 2016
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Psychiatry Res
巻: 235 ページ: 13-18
10.1016/j.psychres.2015.12.011