研究課題
非定型抗精神病薬は臨床領域で頻用される薬剤の一つであるが、耐糖能異常や脂質代謝異常、体重増加などメタボリック症候群類似の症状を引き起こすことが問題となっている。申請者らは、メタボリック症候群の原因の一つである細胞内コルチゾール再活性化酵素(11β-HSD1)に注目し、臨床的に体重増加や耐糖能異常などを引き起こしやすいと考えられているオランザピン(OLZ)および代謝異常を引き起こしにくいと考えられているアリピプラゾール(ARP)、定型抗精神病薬のうちハロペリドール(HPD)、クロルプロマジン(CP)の4剤を代表として、これらの薬剤による11β-HSD1の誘導について肝細胞を用いて検討した。初年度には、HPD(1.8ng/ml~180ng/ml)、CP(90ng/ml~9μg/ml)、OLZ(2.5μM~100μM)、ARP(0.1μM~10μM)を用いてマウス由来肝細胞株刺激による11β-HSD1のmRNA及び蛋白レベルでの発現について検討したところ、全薬剤において11β-HSD1が誘導される傾向を確認した。ただ、発現には濃度依存性は認められていなかった。さらなる検討を行うため、2年目にはHepG2細胞(肝細胞)を新たに用いて11β-HSD1の発現をWestern blotおよびELISAにより検討した。初年度の結果と同様に濃度依存的ではない発現誘導の傾向が確認された。本年度は昨年度の結果を参考に、HPD(1.8ng/ml), CP(90ng/ml), OLZ(7.5μM)、ARP(8μM)に濃度を絞り、HepG2細胞に連続3日間の薬剤刺激を行い11β-HSD1の発現を検討した。その結果、全群において発現が上昇する傾向が確認された。各薬剤間の発現レベルの差異や発現誘導によるCortisol値の変化などの詳細はいまだ検討中である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)
Support Care Cancer
巻: 23(7) ページ: 1925-1931
10.1007/s00520-014-2548-x.
Palliative Care Research
巻: 10(1) ページ: 107-112
Am J Hosp Palliat Care
巻: 未定 ページ: 未定
Biochem Biophys Rep
精神神経学雑誌
巻: 117(8) ページ: 585-600
CAMPUS HEALTH
巻: 52(2) ページ: 149-154