• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

脳の形態画像解析と遺伝子多型解析による強迫性障害の病態、診断、治療研究

研究課題

研究課題/領域番号 25461732
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

川嵜 弘詔  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50224762)

研究分担者 中尾 智博  九州大学, 大学病院, 講師 (50423554)
光安 博志  九州大学, 大学病院, 助教 (00533176)
實松 寛晋  九州大学, 大学病院, 助教 (30588116)
吉浦 敬  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40322747)
樋渡 昭雄  九州大学, 大学病院, 助教 (30444855)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード強迫性障害 / メチル化 / MRI / 遺伝子
研究概要

強迫性障害患者(OCD)95名(男性37名、女性58名、平均年齢35.3歳(SD=11.0))、健常者93名(男性36名、女性57名、平均年齢35.5歳(SD=10.8))に対して、セロトニントランスポーター遺伝子多型2種類(5HTT-LPRと5HTT-VNTR) 、ドーパミントランスポーター遺伝子多型(DAT-VNTR)および、ドーパミン受容体D4遺伝子多型2種類(D4-120,D4-48)に関して遺伝子型を同定した。それぞれの遺伝子型、アリルの患者-健常二群間比較解析において有意差は認められなかった。OCD群40名(男性20名、女性20名、平均年齢34.8歳(SD=12.1))、健常群40名(男性14名、女性26名、平均年齢39.7歳(SD=13.0))に対して、MRI脳画像による構造解析と遺伝子解析を行った。二群間比較において、患者群で、左中央後頭回、右海馬、右海馬傍回、左外側後頭側頭回、左右後帯状回で体積減少、左中心前回において体積増大が認められた。また、5HTT-LPRの遺伝子型(L/S)を決定し、さらに、Lアレル塩基配列内の一塩基多型(A/G)を同定した。LAアレルを持つ遺伝子型をL型とし、持たない群をS型として2群に分類し、χ二乗検定を行ったところ、S型とL型においてOCD患者群と健常対照群の分布に有意な差を認めた。さらに疾患の有無と候補遺伝子多型の関連を調べるため、脳形態画像をエンドフェノタイプとした分散分析による解析を行った。L型の患者群で右海馬、右海馬傍回、右上前頭回の体積減少を認めた。OCD群48名、健常群48名に対して、セロトニントランスポーター遺伝子のexon1を含むCpG islandおよび5´側上流の5HTT-LPR多型を含む領域の範囲から、4つのターゲット領域を設定して、その領域におけるDNAメチル化の状態について解析を実施している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画に挙げていた脳画像と遺伝子の比較解析を行うことが出来ており、一定の成果を得ることに成功した。またメチル化解析においてはシーケノム株式会社に委託し、結果の解析を残すのみとなっている。

今後の研究の推進方策

これまで本邦のOCD研究にはなかった画像所見と遺伝子多型の関連性ついて調べており、病態解明の一助となったと思われる。現在メチル化解析を実施しているが、さらにSSRI や非定型抗精神病薬に対する反応性、症状亜型、神経心理所見と遺伝子多型の関連を調べていく。臨床症状や治療反応性の指標となる生物学的マーカーの同定が出来れば、治療に直結した研究成果となる。

次年度の研究費の使用計画

当該年度で行ったメチル化解析はいまだ途中段階である。次年度で更なる実験と解析が必要となる。また、当該年度では研究結果についての学会発表や論文作成に関しての費用が少なかった。次年度は解析結果を踏まえて、学会発表や論文作成に基づく費用の執行を必要とする。
メチル化解析のための実験と結果の解析や学会発表や論文作成に対して使用する予定としている。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] Neural bases of antisocial behavior: a voxel-based meta-analysis.2013

    • 著者名/発表者名
      Aoki Y, Inokuchi R, Nakao T, Yamasue H
    • 雑誌名

      Soc Cogn Affect Neurosci

      巻: ahead of print ページ: ahead of print

    • DOI

      10.1093

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 躁状態の治療とリチウム -第2世代抗精神病薬との比較、併用を含む-2013

    • 著者名/発表者名
      光安博志, 川嵜弘詔
    • 雑誌名

      臨床精神医学

      巻: 42 ページ: 1363-1369

  • [学会発表] 口腔癌患者の術後せん妄の危険因子の検討2013

    • 著者名/発表者名
      光安博志, 光安岳志, 川嵜弘詔, 松尾裕美, 中村誠司, 神庭重信
    • 学会等名
      第26回日本総合病院精神医学会総会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20131129-20131130
  • [学会発表] White Matter Structural Changes of Obsessive-Compulsive disorder~ from the aspect of Diffusion Tensor Imaging.2013

    • 著者名/発表者名
      Okada K, Nakao T, Sanematsu H, Murayama K, Honda S, Kanba S
    • 学会等名
      43rd Annual Congress of European Association for Behavioral and Cognitive Therapies
    • 発表場所
      Marrakech
    • 年月日
      20130925-20130928
  • [学会発表] Neurobiological model of obsessive-compulsive disorder: Evidence from recent neuroimaging findings2013

    • 著者名/発表者名
      Nakao T
    • 学会等名
      11th World congress of biological psychiatry
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130623-20130627
  • [学会発表] Grey matter abnormality in Checking-based Obsessive-Compulsive Disorder.2013

    • 著者名/発表者名
      Okada K, Nakao T, Yoshiura T, Sanematsu H, Murayama K, Honda S, Tomita M, Kanba S
    • 学会等名
      11th World Congress of Biological Psychiatry
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130623-20130627
  • [学会発表] 強迫性障害におけるセロトニントランスポーター遺伝子多型(5HTT-LPR)と脳の形態画像による脳体積との関連解析

    • 著者名/発表者名
      本田慎一
    • 学会等名
      第46回精神神経系薬物治療研究報告会
    • 発表場所
      千里ライフ サイエンスセンター
  • [学会発表] Involvement of the medial habenula-interpeduncular nucleus pathway in adaptation and social memory.

    • 著者名/発表者名
      KOBAYASHI Y, OBA-ASAKA A, KOGO N, YASUDA K, HAYASHI Y, KAWASAKI H, ITOHARA S
    • 学会等名
      Involvement of the medial habenula-interpeduncular nucleus pathway in adaptation and social memory.
    • 発表場所
      San Diego, U.S.A.
  • [図書] 不安障害診療のすべて2013

    • 著者名/発表者名
      中尾智博
    • 総ページ数
      pp56-91,pp257-264
    • 出版者
      医学書院
  • [図書] 強迫性障害の神経回路障害と治療による修復2013

    • 著者名/発表者名
      中尾智博
    • 総ページ数
      pp10-13
    • 出版者
      メディカルフロント社
  • [図書] III 抗精神病薬. 精神・神経の治療薬事典2014-152013

    • 著者名/発表者名
      中尾智博, 猪狩圭介
    • 総ページ数
      pp138-149
    • 出版者
      総合医学社
  • [図書] 精神疾患の歴史と病名・診断名2013

    • 著者名/発表者名
      岡田佳代, 中尾智博, 神庭重信
    • 総ページ数
      pp784-786
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] 日本総合病院精神医学会治療指針6, 生体臓器移植ドナーの意思確認に関する指針2013

    • 著者名/発表者名
      川嵜弘詔,光安博志,南里幸一郎
    • 総ページ数
      pp13-18
    • 出版者
      星和書店

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi