研究課題/領域番号 |
25461733
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
黒滝 直弘 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (20423634)
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研究分担者 |
今村 明 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40325642)
小澤 寛樹 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50260766)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ミッシング・ヘリタビリティー / 遺伝子 / マイクロアレイ / 精神疾患 / 希少変異仮説 |
研究概要 |
研究は症例の収集と次世代シーケンス解析(NGS)、及び長期転帰に関する回帰分析である。解析の対象となるのはいとこ婚を両親に有するSCZ12 例、BD4 例、及び既に収集している長期転帰調査のための4 名である。本研究は長崎大学ヒトゲノム・遺伝子解析倫理審査委員会の承認の元で実施される(許可番号0702280108)。対象は長崎大学付属病院精神神経科および長崎県内の関連病院に入院中または通院中の統合失調症(SCZ)、双極性障害に罹患する患者である。それぞれの疾患について両親がいとこ婚のSCZ12 家系及びBD4 家系の集約を目標とした。経験豊富な2 人以上の精神科医によってDSM-VI-TR およびICD-10 の診断基準に基づき厳密に診断され、研究の目的や方法についてインフォームドコンセントを得る。罹患者が未成年の場合には両親の同意も得る。いずれの場合も個人情報の保護には最大限留意する。対象者から約10ml の採血を行い、フェノール法でDNA を抽出する。検体収集はそれぞれの主治医から連絡を受けた申請者が行う。いとこ婚は長崎県の中でも離島のような物理的に孤立しがちな区域に多くみられる。既に収集している9 名の中でSCZ 罹患者の解析から順次解析を開始する。実験方法はNGS によるWES で、解析後のバイオインフォマティクスを考慮した。この症例検索の中で私達は偶然、統合失調症の多発している大きな家系を発見した。NGSの解析方法の中でもカバーレッジやデプスは大きな解析の因子となるが、これらの因子を確認する目的、及びそもそものその家系における疾患と関連した遺伝子の同定を目的としてNGSによる解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた近親婚による疾患の発症機序に迫りうる大きな家系を発掘した。現在、急ぎそのNGSによる解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26 年度以降の計画 SCZ ばかりではなく検体が収集され次第BD の解析も進める。新規遺伝子変異は、データ上有意化否かを検討する。もし有意であれば疾患の発想機序を関係があるか否か、cAMP 関連遺伝子など精神薬理学的にSCZ やBD に関連が示唆されている遺伝子かどうか、脳の形態に関与する遺伝子、転写因子など報告があるかどうかをデータベース上で検討する。ゲノム構造異常が同定されれば検精神疾患の一部はゲノム病である可能性が示唆されればゲノム構造の解析に移行する。感受性遺伝子の分布からSCZ 及びBD の遺伝的異種性を解析する。それらの遺伝子変異を手掛かりとして、最終的には長期転帰に影響を与えうる遺伝的背景は何か、を検討する。もし、申請者の同指定した遺伝子変異が長期転帰の検体にない場合には、多施設で今後2,3 年で同定されるであろう変異の影響を手元の検体で確認する。WES は共同研究者の吉浦孝一郎の研究室にあるSOLiD5500xl で行う。データをNovalingsCS で並べAnnova にてdatabase SNP と照合し有用なデータのみを解析する。研究期間内でプロジェクト1)に関して最低16 症例、2)に関しては4 例の解析を行う。もし有意な所見が同定されなければ、NGS による全ゲノムシーケンス(Whole genome sequence,WGS)が理論上は望ましいが、WGS のデータ量はWES の数十倍と、膨大であり、コストの面で現段階では困難と言わざるをえない。しかし、今後WGS が普及し、コストパーフォマンスが見込まれれば、最大2 検体の解析を試行してみる。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子解析が、計上した予算より少額で出来たため。 遺伝子解析が計上した予算より少額で出来たため、可能であれば最大2 検体の解析を試行してみる。
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