研究課題
本研究は元来、いとこ婚を両親にもつ患者さんでDSM-IV-TRに基づいて診断した統合失調症(SCZ)例12例と双極性障害4例から疾患感受性遺伝子を探索し、加えて、既に本教室で長期予後の研究で収集してある4例の解析によって1)SCZとBDの疾患感受性を遺伝子をミッシングヘリタビリティに着目し、特にfunder effetを含むrare variantを探索すること2)それらの遺伝子と長期転帰と関係を検討することの2点を目的としていた。方法論としては次世代型シーケンサー(NGS)によるエキソーム解析(WES)が主体である。これらの研究は情報管理を重視し、長崎大学ヒトゲノム・遺伝子解析倫理審査委員会の承認の元遂行された。しかしながらこれらを遂行する中で、当初は予期していない症例に遭遇し、1)の方法論を構築するのにかなりの時間を要した。具体的にはWESの結果の解釈が困難であったこと、及びSCZの3世代の大家系を発見したことである。この大家系は少なくとも10名のSCZ罹患者を有し、健常者と合わせると28名に及び大家系である。よって、感受性遺伝子の検索にはこの大家系の解析が極めて有効と判断し、方法論の確認も目的としてこの解析を優先した。DISC-Iのようないわゆるrareな遺伝子変異がこの家系の発症に関わっているのではと考えたからである。その結果、わずか2つの遺伝子がこの家系の発症に関わっていることを発見しこれらの機能解析を進めている。一方で、一部の論文化を行っている。これらは、精神疾患の発症機序にはcommon variantだけではなくrare variantの寄与もありうること、さらにはSCZの遺伝的な異質性が大きいことなどを意味し、精神疾患の生物学的研究における今後の大きな展望につながると判断している。
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チャイルドヘルス
巻: 19(5) ページ: in press
GID(性同一障害)学会雑誌
巻: 7 ページ: 19-25
巻: 7 ページ: 27-33
臨床精神医学
巻: 44(10) ページ: 1333-1339