本研究より、難治性気分障害に対する以下の3つの合理的治療戦略が得られた。 はじめに、ラモトリギン強化療法を施行した難治例の結果より、有効血漿濃度(12.7µmol/L以上)と初期の血漿濃度(2週後)から至適投与量を予測する方法を見出した。次に、難治要因である自閉スペクトラム症併存が、うつ病エピソード症例の11-16%に存在し、併存例では約4倍の自殺企図リスクを有し、より致死性手段を取りうる点を警鐘した。また、難治要因の抑うつ性混合状態のディメンジョナルな定量評価に向けて、静的/動的および内在化/外在化の二次元軸からなるうつ病の症候学的構造および治療オプションを提唱した。
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