研究課題/領域番号 |
25461750
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中里 道子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (10334195)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 認知柔軟性 / 認知機能改善療法 / NIRS / rTMS / 摂食障害 / 発達障害 / 国際研究者交流 / 前頭葉機能 |
研究概要 |
1)本研究は、千葉大学大学院医学研究院倫理審査にて承認済みである。「前頭葉脳血流の客観的評価を用いた反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)の効果研究」(対象)千葉大学医学部附属病院および各研究協力医療機関の外来通院患者で、本研究の説明、同意を得た上で、SCID(Structured Clinical Interview for DSM-IV-TR)により神経性大食症の診断基準をみたした、18歳以上70歳以下の右利き女性患者。初年度には、8名の対象患者を対象に、前頭葉血流の賦活低下の重症度を、近赤外光スペクトロスコピー(NIRS)によって評価し、前頭葉認知柔軟性の低下を、セットシフティング課題、後出しじゃんけん課題等を用いて評価した。(方法)高頻度10Hz,rTMSを左背外側前頭前野(左DLPFC, BA9),interval、20 trains=20min、total 1000 pulses、1セッション実施した。評価:NIRSを用いて前頭葉脳血流量を、rTMS施行前後で測定した。測定部位:10/20法におけるFp1およびFp2(心理指標)食行動異常の評価、 過食衝動, 抑うつや不安の気分の評価、機能の全体的評価を行った。介入前後の視覚的評価スケール(VAS)を用いた評価、食品画像課題等に対する過食衝動を評価した。 2)「精神疾患を対象とした認知柔軟性を高める認知機能改善療法(CRT)の効果研究」摂食障害患者、広汎性発達障害患者に対して、適応診断、知能発達検査、認知機能検査(認知柔軟性課題、セントラルコヒアレンス課題)、心理指標(認知的柔軟性尺度、自閉症スペクトラム指数(AQ)、抑うつ、不安症状、食行動調査票等、QoL尺度を実施し、患者群の認知特性を健常対照群と比較し、明らかにする。さらに、対象患者に対してCRTを実施し、終了後検査を実施して前後で比較、治療効果を検証する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)「前頭葉脳血流の客観的評価を用いた反復経頭蓋磁気刺激法の効果研究」(結果)rTMS施行後に後出しじゃんけん課題試行中の前頭葉背外側左チャネルにおいてOxyHbの有意な減少がみられた。VASを用いた評価で、食品画像課題の過食衝動、空腹感がrTMS施行後に有意に低下した。症状評価尺度でrTMS施行後に、不安症状が軽減した。 初年度に、rTMSのパイロット研究の報告を国際学会、論文(査読あり)で発表した。 2)認知機能改善療法(CRT)日本語版マニュアルの作成を準備し、研究セラピストの訓練のために、計3名のセラピストをロンドン大学精神医学研究所に派遣し、CRTの開発者である共同研究者、Kate Tchaturia博士と国際情報交換を行った。初年度までに健常対象者10名の認知機能検査、心理指標の評価を実施した。対象患者3名に対して介入前の適格性の判断、認知機能検査等を実施し、認知機能改善療法の実施を進捗中である。CRTの治療の質の確保のために、スーパーヴィジョンのfidelity(忠実性)の情報をTchaturia博士と共有した。
|
今後の研究の推進方策 |
対象患者のリクルートおよび、介入研究の実施を継続して行う。平成26年度5月にTchanturia博士を招へいし、CRT研究セラピスト養成と研究fidelityを目的とした研修会を開催予定。二年度までに対象患者の診断と評価を実施し、rTMS及びCRTの治療反応性を検討する。最終年度に、NIRSを用いた前頭葉血流の賦活低下の重症度、認知柔軟性の障害の重症度を予測因子として、治療前後の構造化面接を用いた改善率(%)を比較し効果検証する。最終的には、客観的診断指標と、優れた治療適応の診断法のシステムを開発し、新規治療法のプロトコールの普及を図る。
|
次年度の研究費の使用計画 |
認知機能改善療法の効果研究の健常被験者の認知機能検査、質問票の実施は、平成25年度3月までに目標人数の半数施行し、謝金の支払い分は、平成26年度に予定されたため。被験者に実施する構造化面接質問票の購入予定が、平成26年度になったため。 平成26年度に、健常被験者の認知機能検査および自己記入式心理指標を実施し、謝金を支払う。被験者に実施する予定の構造化面接(ADI-R)の質問表を目標対象人数分購入し、実施する。
|