研究課題/領域番号 |
25461750
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中里 道子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任教授 (10334195)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 摂食障害 / 発達障害 / 認知柔軟性 / セントラルコヒアレンス / 経頭蓋磁気刺激療法 / 認知機能改善療法 |
研究実績の概要 |
1.摂食障害を対象とした認知柔軟性を高める認知機能改善療法の効果研究 対象者は、千葉大学医学部附属病院および各研究協力期間の外来通院患者で、本研究の説明、同意を得た上で、神経性過食症、神経性無食欲症の診断機基準を満たした、10歳以上45歳以下の患者。前頭葉血流の賦活低下を、近赤外線分光法(NIRS)脳機能イメージング装置を用いて診断し、セントラルコヒアレンス課題、前頭葉認知柔軟性の神経心理課題を用いて治療前後の評価を実施した。主要評価項目は、先行研究(Tchanturia et al, 2013)に準じて、前頭葉認知柔軟性課題(ブリクストンテスト)とした。対象患者に対して、マニュアルに基づく10セッションの個人認知機能改善療法(Cognitive Remediation Therapy; CRT)を実施した。介入前後に、前頭葉脳血流量低下、前頭葉認知柔軟性の障害の評価を用いて、治療反応性の予測と効果検証を行った。今年度は、成人16名の患者群を終了し、平成28年度に解析予定である。 2.自閉スペクトラム症(ASD)を対象としたCRTの効果研究 対象者は、千葉大学医学部附属病院および各研究協力期間の外来通院患者で、本研究の説明、同意を得た上で、ADI-Rを用いて自閉スペクトラム症の診断機基準を満たした、10歳以上45歳以下の患者。治療前後に、認知柔軟性課題、セントラルコヒアレンス課題を用いて、主要評価項目として、Reyの複雑図形課題の課題成績を用いた。19名のASD患者、20名の健常対照者に実施を終了し、ASD群では、介入前後で優意に認知柔軟性、セントラルコヒアレンス課題成績が改善した。現在、論文執筆中である。 反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)の摂食障害に対する効果研究は、論文が受理され、現在、無作為割り付け比較対照試験を進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CRTの介入研究に関しては、ASDを対象とした研究ではリクルートを終了し、主要評価項目の有意な改善が得られ、現在論文を執筆中である。 摂食障害に対するCRTの効果研究では、患者群のリクルートは、90%終了し、今後リクルートとおよび解析を行い、論文投稿を行う予定である。 rTMSの効果研究の学術論文が査読付き英文雑誌に受理された。
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今後の研究の推進方策 |
摂食障害に対するCRTの効果研究に関して、患者群のリクルートを継続し、治療前後の神経心理学的検査、NIRSを用いたOxHb濃度の変化の解析を次年度に行い、研究成果の論文化を進める。今年度3月1日から、平成28年度5月31日までロンドン大学精神医学研究所、摂食障害ユニットから、CRT研究の共同研究者を招へい中であり、主要評価項目(Rey複雑図形課題)の検査結果の忠実性の評価、論文執筆の準備を進行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
認知機能改善療法の効果研究の摂食障害患者の目標人数の残りの人数が、平成28年度に繰り越しになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に、摂食障害患者残り2名に対して認知機能検査、自己記入式心理指標を実施し、認知機能改善療法の治療前後の認知機能検査、NIRSを用いた脳血流測定の解析を行い、学会発表、論文化し公表を行う予定。
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