研究課題/領域番号 |
25461751
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川久保 友紀 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40396718)
|
研究分担者 |
石井 礼花 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40609020)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 神経科学 / 発達障害 |
研究概要 |
本研究は、ASD児とADHD児に対し、NIRS(近赤外線スペクトロスコピー)を用いて前頭葉の活動を明らかにするとともに、MRIを用いて前頭前野の形態計測を行ない、機能と形態との関連性を明らかにする。さらに、その関連性について、ASDとADHDの相違点を明らかにするため、症状との相関解析を行なうことを目的としている。 平成25年度は、小児での比較に向けて、まずは成人を対象にASD群とADHD群の前頭葉機能の比較を行った。その結果、ASD、ADHD群ともに定型発達に比べて前頭前野の血流が低下するものの、ASD群の方が広範囲での血流低下が見られた。ASD群とADHD群、ADHD症状のあるASD群とADHD群の直接比較において、ADHD症状を持つASD群とADHD群との比較では、ASD群全体との比較に比べて、差異が弱まるものの、左のVLPFCで疾患による差が示された(Ishii-Takahashi et al. 2013)。これらの結果は、ASDとADHDにおいて行動上の共通点が見られる場合でもその背景にある脳基盤が異なることが明らかになり、生物学的マーカーに基づく診断の補助検査開発等の臨床応用につながることを示した。 MRIについては、小児に実施するにあたって必要となる、MRIの実施の流れを子ども向けに分かりやすく記載したパンフレットを作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小児のデータ収集を開始する前に、成人のデータから、ADHDとASDの比較を行なうにあたり、ADHD症状のあるASD群とADHD症状のないASDとに分けて解析を行なう必要があることを確認することができた。また、ASD, ADHDの診断に用いられるアメリカ精神医学会の診断マニュアルがH25年度に改訂され、DSM-IVがDSM-Vとなり診断基準が変わったため、新たにデータ収集する上での診断基準の見直しを行なったため、小児のデータ収集を始めるにあたっての準備に時間を割き、データ収集が予定より遅れてしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
疾患群のデータと定型発達のデータを同時に収集するのではなく、本年度の前半では定型発達のデータを中心に収集していくことにする。年度の後半では、ASD およびADHD 児のリクルートを行ない、東京大学医学部附属病院精神神経科、こころの発達診療部の協力を得る。ASD 患者 が十分に集まらない場合には、研究内容を説明するパンフレットを作成し、近隣の関連病院に配布し、担当医師に患者の紹介を依頼したり、ホームページに募集記事を載せたりすることにより、患者を院外からも募集する。定型発達児については、新聞広告やホームページに募集記事を掲載して、広く呼びかけを行なう予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究打ち合わせのために3月に出張を予定していたが、出張予定であった研究代表者がインフルエンザに罹患し、出勤停止となり、出張ができなくなったため。 H26年度に延期し、打合せを行なう予定である
|