研究課題
本研究は、自閉症スペクトラム障害(ASD)児と注意欠如多動性障害(ADHD)児を対象に近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)とMRIを実施し、前頭葉機能および形態の差異を明らかにすることを目的としている。本年度は、DSM-VにおいてADHDと診断されている未服薬のADHD児14名、ADHD児と年齢、性別、IQを一致させた定型発達児(TD児)15名、ASD児5名のデータ収集を行なった。IQの評価には、ウエクスラー知能検査(WISC-IV)を用い、精神疾患の構造化面接(M.I.N.I-KID)およびADHD-RS(保護者によるADHD症状の評価スケール)、子どもの行動チェックリスト(CBCL)を用いて精神疾患の有無や問題行動の有無を確認し、定型発達であることを確認した。本研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を得ており、実施に先立って、対象児と保護者に対し書面にて説明をした上で書面にて同意を得た。ASD児はまだ人数が十分ではないため、ADHD群とTD群について解析を行なったところ、TD群に比べ、ADHD群では課題中の両側の下前頭皮質(IFC)領域のオキシヘモグロビン変化量([Oxy-Hb])が低下しており(P=0.012, d=-0.94, 95%CI -1.74 to -0.20)。前頭葉機能がTDとは異なることが示唆された。
3: やや遅れている
小児のデータ収集の開始が遅れていたため、ASD児のリクルートがやや遅れている。
本年度は、ADHD児やTD児のリクルートは一旦終了し、ASD児のみに絞ってデータ収集をおこなっていく。これまでの他の研究に参加した児童を対象に再度リクルートを行なう。
わずかながら次年度使用額が発生した理由としては、人件費や旅費の算出の際の誤差範囲と考えられる。
本年度は昨年度算出された額を参考にしながら、引き続き、旅費や人件費にあてていく。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Mol Psychiatry
巻: 20 ページ: 447-53
10.1038/mp.2014.74
JAMA Psychiatry
巻: 71 ページ: 166-75
10.1001/jamapsychiatry.2013.3181.
精神科治療学
巻: 29 ページ: 220-222