研究課題
自閉症スペクトラム児・者は、幼少期から「視線が合わない」など、視線に臨床的な特徴が現れることが知られている。我々はこの特性に着目して、静岡大学工学部海老澤嘉伸教授が開発した「注視点検出・計測装置」 “GazeFinder“を開発し、自閉症スペクトラム児・者への臨床応用についての検討を重ねてきた。その結果、療育経験のほとんどない自閉症スペクトラム児・者を対象として、モニターに様々な視覚刺激を提示しその際の注視点分布パターンを計測すると、定型発達児・者と異なることを確認できた。これを踏まえ、申請者らは注視点分布パターンが自閉症スペクトラムの重症動を反映するのではないかと仮定し、Gazefinderによって、自閉症スペクトラム児の重症度を反映する指標を探索することを目的に158名の子ども(2~16歳)を対象に検討した。その結果、対象者が5歳以上であれば、「選好タスク(幾何学模様とヒトの画像を対置した視覚刺激)」の一つに対する注視点分布が重症度と強く相関することが分かった。Gazefinderによって測定された注視点分布から得られる指標は、5歳以上の対象に限り、自閉症スペクトラム児の重症度を反映する可能性があることが示された。今後、より大きなサンプルにおいて確認的分析を行う必要がある。
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Molecular Autism
巻: 7 ページ: 19
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脳21
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