研究課題/領域番号 |
25461760
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
藤田 梓 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (50444352)
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研究分担者 |
鈴木 勝昭 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00285040)
横倉 正倫 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00529399)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / ポジトロン断層法 / ドパミン系 |
研究実績の概要 |
自閉症の病態、特に情動の障害と多動性・衝動性の基盤において、脳内ドパミン系が重要な役割を果たしていることが推測される。その詳細は不明であるが、我々のポジトロン断層法(positron emission tomography: PET)による研究から、自閉症では眼窩前頭皮質においてドパミン・トランスポーター結合部位が増加していることが明らかとなり、同部位のドパミン系機能の亢進が情動の障害と多動性・衝動性のいずれか、または両者と関与している可能性が示唆された。そこで、本研究では、自閉症者の眼窩前頭皮質におけるドパミン系のシナプス後の状態を、ドパミンD1受容体特異的トレーサー[11C]SCH23390とPETにより計測し、その情動、多動性・衝動性との関係について調べた。 自閉症者20名、および、年齢とIQを適合させた定型発達者20名を対象とした。自閉症の診断には国際標準の診断ツールであるADOSおよびADI-Rを用いた。対象者の選定にあたっては、薬物療法を受けている者、知的障害を伴う者、他の精神障害を合併する者は除外し、交絡因子を排除した。全例に、ドパミンD1受容体の特異的リガンドである[11C]SCH23390を用いたPETを施行し、小脳を参照領域として[11C]SCH23390結合能を求め、眼窩前頭皮質、線条体、および中脳に関心領域をおき、各脳部位における[11C]SCH23390結合能を自閉症群と定型発達群とで比較した。その結果、自閉症では眼窩前頭皮質と中脳における[11C]SCH23390結合能が有意に高く、これら脳部位におけるドパミンD1受容体結合部位の増加が示唆された。その増加は、しかし、情動、多動性・衝動性と有意な相関を示さなかった。 本研究の結果は、第58回日本神経化学会で発表し、現在国際誌に投稿中である。
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