研究課題/領域番号 |
25461768
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大河内 正康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90335357)
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研究分担者 |
田上 真次 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40362735)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アミロイドβ蛋白 / アルツハイマー病 / γセクレターゼ / 老人斑 / 膜内蛋白分解 / 酵素と基質の解離 |
研究実績の概要 |
Aβ42切断の増大が「γセクレターゼからのAβ42の解離の促進」を意味していることを報告した。その時、家族性アルツハイマー病を引き起こす遺伝子変異のgain of functionとされている「Aβ42の産生比率の増大」は「long Aβのγセクレターゼからの解離」である可能性を提案した。この新しい考え方をサポートする事実を本研究で積み上げた。具体的には、(1)細胞内long Aβを認識するアッセイ系を作成し、PS1変異によりAβ42産生が増大する条件で細胞内long Aβが増加していることを明らかにした。(2)続いて、細胞内long Aβの集積が変異発現細胞で認められた時、細胞内long Aβのうち半数以上がγセクレターゼに結合しない形で存在する可能性を示唆した。 さらに、「細胞内long Aβの量や状態を病原性変異を反映した状態におき、かつ細胞外のAβ42量の増大をキャンセルするモデル」を作成し細胞機能の障害が起こらないか検討した。具体的には、PS1変異細胞で細胞内long Aβ量や状態を維持しながら、細胞外Aβを培養上清から取り除き細胞機能の障害を観察した。具体的には(1)細胞内トラフィッキングについて生化学的・免疫組織化学的に検討した。(2)細胞内トラフィッキングについて特に軸策輸送の障害、細胞体内での異常蛋白の蓄積が再現できないか検討した。しかし現時点で細胞内long Aβが細胞機能の障害を誘導するか結論に至らなかった。 まとめると、「膜内のlong Aβもまたγセクレターゼから解離すること」、「それが家族性アルツハイマー病変異で起こりやすいこと」、「Aβ42産生量の増加とは、膜内のlong Aβのγセクレターゼからの解離が促進されること」はより明白になった。一方、細胞内long Aβ増加の病原性や細胞機能の障害については今後も今までの流れに沿った研究が必要である
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