研究課題
[目的] 術後せん妄が最も多く出現する代表的な心血管バイパス術において、ラメルテオンのせん妄予防に関する有効性と安全性を検討した。[方法] ラメルテオン(8mg)は手術当日を含めた術後3日間、ICUにて21時に経口より連続投与した。せん妄の評価は術後7日間、評価尺度はDSM-IV-TRを用いた。主要評価項目はせん妄の発生頻度、副次的評価項目はICU滞在日数、総入院日数とした。除外診断は中等度以上の肝機能異常を有する患者、フルボキサミンを服薬している患者、精神疾患を有する患者、プロトコール以外にラメルテオンを使用した患者、BZ系薬剤などせん妄を惹起する薬物を使用した患者とした。[結果] 2011年11月~2015年3月までに心臓血管外科に入院した心血管バイバス術予定患者37名をエントリーし、プロトコール違反など除外した、ラメルテオン投与群10名と非投与群11名を解析した。術後せん妄は、ラメルテオン投与群では発生せず、非投与群は3回発生した。術後せん妄発生頻度は減少傾向にあったが、サンプル数が少なく有意差はなかった(P = 0.214)。ICU滞在日数は減少傾向(3.5 ± 1.4 vs 5.3 ± 2.5, p = 0.051)がみられ、総入院日数は有意差をもって減少していた(15.9 ± 7.1 vs 23.3 ± 12.0, p = 0.036)。ラメルテオン投与に関連した副作用は認めなかった。[結論] 本研究の目的であるせん妄予防については、症例数が少なかったこともあり、その可能性を示唆するに留まった。一方、総入院日数の減少と副作用がなかったことから、本プロトコールは医療コストの減少とともに高い安全性が期待できることが示唆された。今後は、症例数を増やすと同時に多施設二重盲検試験など、信頼性の高い研究をする必要があると思われた。
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