研究課題/領域番号 |
25461771
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
池田 智香子 岡山大学, 大学病院, 医員 (10648231)
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研究分担者 |
寺田 整司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20332794)
横田 修 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (60379732)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 嗜銀顆粒病 / 進行性核上性麻痺 / 4リピートタウ / 皮質下諸核 / tufted astrocyte |
研究実績の概要 |
嗜銀顆粒病(AGD)は進行性核上性麻痺(PSP)や皮質基底核変性症(CBD)に高頻度に合併することが知られているが、その臨床的意義は不明な点が多い。また、病理学的特性の違いから、AGDとPSP/CBDは全く異なる疾患と捉えられてきた。本研究の目的は、PSP/CBDへの病理学的移行を念頭に置きつつAGDの臨床病理学的特性を検討し、AGDの予後、リハビリテーション、QOLの予測に役立つ情報を得ることである。H25年度では、AGD症例において、前頭葉や基底核、脳幹といった、PSPでタウ病理(NFT、threads及びtufted astrocyte)が好発する部位に、少量ではあるがタウ病理が認められる例が存在することが判明した。H26年度では、これらの軽度のPSP病理を有するAGD11例において、皮質下諸核における軽度のタウ病理の分布と頻度について調べ、軽度PSP病理を有さないAGD8例、PSP9例、対照20例と比較してどのような傾向があるかを検討した。また、それらの症例において蛍光2重染色、生化学検査、遺伝子検査の追加実験も施行した。これらの結果より、一部のAGDはPSPに類似した軽度のタウ病理を皮質下に有し、AGDの進行に従ってこれらの病変が高度になる傾向にあることが示唆され、今までの概念とは違ったAGDの病理学的特性の一部を知ることができた。また、AGDとPSPは病理学的移行がある可能性も本研究の結果から示唆された。臨床症状については、過去のカルテからの情報が不十分であり今回は検討することができなかったが、AGDにおける軽度のPSP類似病変が運動機能や認知機能にどれほど影響を与えるかについては、リハビリテーションやQOL予測に役立つと思われるため、今後も情報を集めて検討することが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
剖検対象例についての基本的な病理学的評価、追加の生化学的検査、遺伝子検査は終了し、概ね実験の終了段階まで進んできている。今までの実験結果については、H26年度に学会でも報告済みである。
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今後の研究の推進方策 |
病理学的評価で一部評価が足りない部分があったため、それに対して追加染色を行い、引き続き評価をしていく。また、H27年度中に今までの実験結果をまとめて英文誌に掲載する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の試薬、抗体の購入が予定より少なく済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験結果をより正確に評価するために、追加染色が必要であり、そのための試薬や抗体の購入、学会発表の交通費などに使用する予定である。
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