研究課題
基盤研究(C)
鼻副鼻腔疾患や頭部外傷の既往がなく、「うつ病」「パニック障害」「適応障害」などの診断で心療内科および精神科にて治療中の患者に依頼し同意を得た上で、研究への強力を依頼した。鼻腔内視診、鼻咽腔ファイバースコープ検査、質問票調査、および嗅覚検査を実施した。嗅覚検査法としては臨床的に用いられる基準嗅力検査T&Tオルファクトメトリーと、未だ認可のおりていない日本人向け嗅覚同定能力研究用カードキットであるオープンエッセンスを用いた。現在までに得られた結果では、オープンエッセンスは若年者並みのスコアを示す例が多くほぼ正常範囲であった。基準嗅力検査では検知域値・認知域値とも正常範囲となっていたが、もしさらに試薬を希釈して低濃度とすれば、嗅覚機能過敏を証明できる可能性も考えられた。このように、従来の嗅覚障害治療に用いられる検査法は障害程度の同定を目的としているため、精神疾患の嗅覚過敏の検査には、検査法の工夫が必要であることが明らかとなった。fMRI研究については、高知大学医学部附属病院の放射線部での実施が困難となり、予定通りに進行していない。現在、研究専用のMR機器を有する高知工科大学との共同研究を推進すべく、交渉中である。
4: 遅れている
当初高知大学医学部附属病院放射線部のMR機器を用いて、実験を行う予定であったが、臨床業務に用いられているため、利用時間および稼働させる技師のマンパワーが著しく不足しており、実験を施行することができない状態である。
正確な嗅覚機能同定のための、嗅覚検査法の工夫を考えている。また、研究専用のMR機器を保有している高知工科大学と共同研究を計画し、fMRIデータ取得をめざすべく、現在準備を進めている。高知工科大学は高知大学医学部から13kmあり、被験者の移送手段についても検討が必要となる。
当該年度に購入を予定していた嗅覚検査カードキットが一旦製造中止になっており、また機器の納期も遅れたため、年度内に会計処理ができなかった。該当機材は次年度開始直後に上記の問題は解決したため、次年度の会計処理となる予定である。
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