研究課題/領域番号 |
25461774
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
篠原 一之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (30226154)
|
研究分担者 |
桑原 斉 東京大学, バリアフリー支援室, 准教授 (50456117)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 自閉症スペクトラム / 独立症状 / 重症度 |
研究実績の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)病像の多彩さは、ASD病態・病因解明の障害となっている。ASD病像・病態理解が進まない原因は、ASD病像の多彩さが、ASD 3主徴(コミュニケーション能力障害、対人相互作用障害、常同性)各々の「有無」だけで捉えられてきたことによる。これに対し、近年の研究では、3主徴とは異なる「3独立症状」の「重症度」によって、ASD病像を正確に把握できることが示唆されている。つまり、独立に変動する3症状の重症度によって、ASD病像が適切に理解できるのである。かくて、本研究では、母子・双生児コホート研究と疾患研究により、ASD 3独立症状各々の重症度に特異的に関与する生化学的因子と、その脳への作用機序を解明することによって、ASDの病態・病因解明、ひいては、ASD病像の正確な類型化を目指す。 本年度は、ASD患者の症例を追加し、個々の独立症状と関連する生化学的因子を探索的に分析した。具体的には、小児自閉症評定尺度(CARS)を用いてASDの独立症状別重症度評価を行い、各重症度と遺伝子多型の関連性を調べた。その結果、内分泌かく乱物質受容体関連遺伝子ARNTの多型・エストロジェン受容体遺伝子ESR1の多型が社会的コミュニケーション・対人関係能力障害の重症度に、ESR2の多型が情動制御能力障害の重症度に特異的に関連していることを明らかにした。この知見は、性腺ホルモンのASD独立症状に対する作用が一様ではなく、異なる作用機序に媒介されて発現する可能性を示唆していると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、必要な検体を収集し、重症度に関連する生化学的因子の解明に成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、データ収集を継続しつつ、これまでに収集したデータの統合的解析を行い、研究を総括する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた消耗品の使用量が、当初予定よりも少なかったため、使用額に変更が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
最終年度に実施する統合的解析のための消耗品購入に充当する予定である。
|