研究課題
平成25年4月以降は、TMS(経頭蓋磁気刺激法)と脳波を組み合わせたTMS-EEG実験を健常被験者に対して、実施した。シータバースト刺激(TBS)の前後でTMS誘発電位を測定したところ、N100、P180などの成分の振幅の経時的変化をとらえることができた。この予備的結果はTMS誘発電位が前頭連合野の興奮特性や可塑性を反映するバイオマーカーとしての可能性を示唆した。平成25年9月以降は、被験者負担が少なくTMS-EEG実験に特化した実験環境を追求した。新しい実験システムと研究プロトコールによって、TMSアーティファクトの混入が劇的に低減され、TMS誘発電位の超早期成分(N45など)の解析が可能となった。新規プロトコールを用いて、健常成人被験者計13名のデータを取得して、予備的解析を行い以下の2点を明らかにした。1)TBS前後でTMS誘発電位を経時的に測定したところ、TBS群はベースラインとの郡内比較でも、シャム群との群間比較においても、N45成分の振幅においてTBSによる増幅効果が40分程度確認された。2)TBS前後で認知機能課題を経時的に測定したところ、TBS群はベースラインとの郡内比較でも、シャム群との群間比較においても、TBSによる作動記憶課題の増強効果が40分程度確認された。平成26年4月以降は、成人の自閉症スペクトラム障害の当事者を対象としたデータ取得を開始した。3時間に及ぶ実験であるが、概ね問題なく実験を実施できることが明らかとなった。本報告書作成時点において、健常被験者は27名で自閉症スペクトラム障害の当事者は8名のデータ取得が完了している。
2: おおむね順調に進展している
技術的に困難であるとされるTMS-EEG実験とその解析技法を概ね確立できたことの意義は大きい。そして、平成26年度前半からは自閉症スペクトラム障害の当事者の方々のデータ取得が開始できたことは順調な進展を裏付けている。
・自閉症スペクトラム障害の当事者のデータ取得を推進する(患者群のサンプル数の目標は20名程度)。・健常者データの解析をさらに発展させて、論文化する。・健常者と自閉症スペクトラム障害の違いを明らかにして論文化する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
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