研究課題
本研究の期間内の目標として、①HCNP前駆体蛋白(HCNPpp)およびtubulinが凝集し、平野小体様構造を惹起するか②HCNP前駆体リン酸化がオートファゴゾーム形成過程に関与しているか③HCNP前駆体リン酸化体の病的意義を明らかにすることを挙げた。①について、至適結合条件がpH 6.8-7(リン酸緩衝液)、低Na (10-20mM)であることまで明らかにできた(平成27年度)。結合数については、複数のβtublinと結合している可能性が明らかになっており、現在確認中である。②については、海馬および海馬傍回にみられる顆粒空胞変性内のp62と特異的に結合・共存し、ユビキチン化選択性オートファゴゾーム形成過程に関与している可能性を免疫組織学的・生化学的に明らかにした。③HCNP前駆体およびそのリン酸化体について、質量分析のよる定量法を確立した。また、本法および免疫染色法を用いて定量化を行ったところ、、リン酸化体陽性顆粒空胞変性はアルツハイマー病脳側頭葉において増加し、HCNP前駆体は減少していることが明らかになった(平成27年度)。今回の結果から、細胞内にて弱酸性状態になった場合にHCNP前駆体蛋白がβtublinと結合する可能性が示された。また、リン酸化HCNP前駆体蛋白は、顆粒空胞内に存在することから他のリン酸化蛋白同様に細胞内にて処理される過程にあるのか、処理過程に必要な因子であるのかが問題である。今回の結果では、p62と特異的に結合し存在し、p62陰性ファゴゾームにはほぼリン酸化HCNP前駆体は存在しないことから、p62と関連する機能を有している可能性が否定できない。今後、その機能を明らかにし、アルツハイマー病脳における顆粒空胞変性増加とHCNP関連蛋白の意義について検討することが、病態解明の一助になる可能性がある。
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