研究課題/領域番号 |
25461787
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
根本 隆洋 東邦大学, 医学部, 准教授 (20296693)
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研究分担者 |
水野 雅文 東邦大学, 医学部, 教授 (80245589)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脳神経疾患 / リハビリテーション |
研究概要 |
平成25年度の研究実績の概要は、①急性期統合失調症患者に適したワークブック形式の認知リハビリテーションプログラムおよびコントロールプログラム(リハビリ期間は8週間)を作成したこと、②プログラムの開始が可能な急性期症例を4群に割り付けたランダム化比較試験(RCT)を実施したことである。 プログラムの作成においては、認知リハビリテーションについては、発散的思考課題、収束的思考課題、社会認知課題などから構成される訓練課題を独自に作成した。コントロールについては書写などを中心とした課題からなるものを作成した。 RCTにおける4群とは、①前半4週間認知リハ課題+後半4週間コントロール課題(早期リハ群)、②前半4週間コントロール課題+後半4週間認知リハ課題(後期リハ群)、③8週間認知リハ課題(長期リハ群)、④8週間コントロール課題(対照群)、の4群である。対象は、東邦大学医療センター大森病院精神神経科に入院した患者の中で、統合失調症圏の15歳から50歳の患者のうち、入院から2週間以内に研究への参加について同意が得られプログラムを開始できる者とした。 現在までに9例が研究参加の登録を行い、プログラムを開始した。9例は男性5名、女性4名、平均年齢30.2歳であった。全例ともリハビリプログラムを完了もしくは継続し、評価も継続中である。 プログラムの開始に先立ち、認知機能、精神症状、社会機能などに関する評価を行い、その後も継続的なアセスメントを行った。また、光トポグラフィー検査を用いた脳機能評価も継続的に実施している。具体的なプログラムの実施については、対象者は担当者からワークブックが手渡され、そこで訓練課題についての実施方法と内容の理解の確認が行われた。定期的にプログラム実施の確認や継続の動機づけが行われ、対象患者の訓練態度、負担、病状の変化に細心の注意を払いながらプログラムが継続された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進捗状況はやや遅れているが、その最も大きな理由として、病棟改築工事があげられる。それにより、研究実施環境の準備と設定に長期間を要さざるを得ない状況であった。研究対象者の登録開始が2014年1月となるに至った。 また、光トポグラフィー検査の実施に関する準備について、判読医や実施検査技師の訓練や修練にも時間を要したことも、リハビリ介入の開始が遅れる一因となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、リハビリプログラム導入の症例数を増やすとともに、プログラムの効果測定のための検査や評価を継続していく。25年度の遅れを取り返すべく、より効率的な研究導入と継続評価の実施を行う。具体的には、医師に加えて病棟看護師やコメディカルスタッフとの連携をより深めて、導入適応期間での速やかな研究導入をより確実に達成し、登録症例数を増やしていく。 効果測定については、各群とも、訓練開始前、訓練終了時、6か月および12か月追跡時において、認知機能、精神症状、社会機能などに関するアセスメントを行う。その他、入院期間、再発・再入院の有無、再入院までの期間なども評価する。また、急性期における認知リハビリテーションの導入と継続の成否に関わる、臨床的および人口統計学的な因子の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
前述のように、病棟改築工事や光トポグラフィー検査の実施準備などを理由に、研究の進捗状況が全般的に遅れたために、次年度使用額が生じた。 25年度に計画していたが遅延してしまった研究内容を、26年度に集中して行う予定である。そのため、25年度に計上していた経費を26年度に持ち越して、適切に使用し迅速に研究を推進したいと考えている。 具体的には、リハビリテーションワークブック製作費用(用紙、ファイル、筆記用具、プリンタインク、利用図書など)、研究対象者への謝礼、検査・評価を行う臨床心理士の人件費などに使用する予定である。
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