研究課題
平成28年度の研究実績の概要は、急性期統合失調症患者に適したワークブック形式を用いて、認知リハビリテーションプログラムおよびコントロールリハビリテーションプログラム(リハビリ期間は8週間)を用いて、プログラムの開始が可能な急性期症例を4群に割り付けたランダム化比較試験(RCT)を継続して実施したことである。プログラムについて、認知リハビリテーションについては、発散的思考課題、収束的思考課題、社会認知課題などから構成される訓練課題を、コントロールリハビリテーションについては書写などを中心とした課題を用いている。RCTにおける4群とは、①前半4週間認知リハ課題+後半4週間コントロール課題(早期リハ群)、②前半4週間コントロール課題+後半4週間認知リハ課題(後期リハ群)、③8週間認知リハ課題(長期リハ群)、④8週間コントロール課題(対照群)、の4群である。対象は、東邦大学医療センター大森病院精神神経科に入院した患者の中で、統合失調症圏の15歳から50歳の入院患者のうち、入院から2週間以内に、研究への参加について同意が得られプログラムを開始できる者とした。合計40例(男性15例、女性25例、平均年齢31.6歳、平均教育年数13.0年)が研究参加の登録を行い、プログラムを実施した。入院からプログラム導入までの間隔は、平均9.8日であった。プログラムの開始に先立ち、認知機能、精神症状、社会機能、QOLなどに関する評価を行い、その後も継続的なアセスメントを行った。認知リハビリテーションを行った群とコントロール群を訓練前後で比較したところ、社会機能の変化において、認知リハビリテーション群の効果を示す傾向が認められた。急性期においても認知機能への働きかけを意図したリハビリテーションプログラムの実施は可能であることが示唆され、またその後の社会機能の改善に寄与する可能性が示された。
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Comprehensive Psychiatry
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doi: 10.1016/j.comppsych.2016.11.005.
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http://gyoseki.toho-u.ac.jp/thuhp/KgApp?kozac=22010900&year=2016