研究課題/領域番号 |
25461788
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
舘野 周 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50297917)
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研究分担者 |
大久保 善朗 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20213663)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 妄想性障害 / ドーパミントランスポーター / 老年期精神障害 / ポジトロンエミッショントモグラフィー |
研究概要 |
初年度は研究を開始するに当たり、被験者リクルート体制、データ管理体制を整えた。この後、65歳以上で妄想性障害の診断を満たすもの16名に対して[18F] FE-PE2Iを用いて線条体ならびに黒質緻密部におけるドーパミントランスポーター受容体結合能を評価した。内5名はパーキンソン症状を有していたため、比較対象から除外した。65歳以上の健常者13名のドーパミントランスポーター受容体結合能と比較検討を行った。ドーパミントランスポーター受容体結合能は加齢による影響を受けるため、70歳以上を対象とし、両群の中で年齢がほぼ同じものを選び(患者群9名、健常対照群6名)に解析を行った。いずれの被験者も頭部MRI検査にて脳梗塞等の有意な器質的変化を認めなかった。 患者群(平均年齢76.4±3.1(SD)歳)と健常対照群(平均年齢74.6±2.9(SD)歳)で有意な平均年齢の差は見られなかった。線条体における患者群のドーパミントランスポーター受容体結合能(1.9±0.5)は、健常対照群(2.4±0.1)よりも有意に低く(p<0.05)、黒質緻密部においても同様(0.4±0.1対0.6±0.1、p<0.01)であった。 少数例の検討であり、また70歳以上の高齢者のみを対象とした解析結果であるため、引き続き被験者数を増やす事や若年における検討も必要であるが、本年度の結果から、老年期の妄想性障害においてはドーパミントランスポーター機能が約20%低下していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者は予定数を超えたものの、除外される被験者が多かったこと、高齢の被験者が多かったため、解析対象となる被験者数が予定よりもやや少ないものの、概ね順調に伸展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降被験者数を増やす事で、今回得られた所見が若年発症の妄想性障害でも認められるか、神経心理検査や神経学的所見との関連はあるか等について検討していきたい。また妄想性障害の病態解明のためには同年代の統合失調症患者との比較することも検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
被験者が当初予定よりも少なくなり、PET検査薬合成回数が当初予定よりも少なくなった。このため必要な物品費と人件費が少なくなったため。 次年度に今年度撮像出来なかった被験者に対してPET検査を実施する事で、物品費と人件費を使用する予定である。
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