研究課題/領域番号 |
25461788
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
舘野 周 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50297917)
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研究分担者 |
大久保 善朗 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20213663)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 妄想性障害 / ドパミントランスポーター / 統合失調症 / 老年期精神障害 / ポジトロンエミッショントモグラフィー |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き被験者をリクルートし、検査を実施した。前年度と併せて55歳以上で妄想性障害の診断を満たすもの17名、年齢層が一致する健常対照者15名、比較対照として55歳以上の統合失調症患者9名に対して[18F]FE-PE2Iを用いて線条体におけるドパミントランスポーター受容体結合能(BP)を評価した。 妄想性障害患者群(平均年齢73±7.7(SD)歳)、統合失調症患者群(平均年齢70.1±5.7(SD)歳)、健常対照群(平均69.3±5.9(SD)歳)の間で有意な年齢の差は見られなかった。線条体全体におけるBPは妄想性障害患者群(1.87±0.59)は健常対照群(2.61±0.46)と比べて有意な低下(p=0.004)を示したが、統合失調症群(2.55±0.65)は健常対照群と比べて変化は無かった。尾状核では妄想性障害患者群のBPは(1.86±0.55)であり、健常対照群(2.37±0.41)、統合失調症患者群(2.49±0.59)よりも有意に低かった(p=0.03、p=0.04)。被殻では妄想性障害患者群のBPは(1.86±0.65)であり、健常対照群(2.59±0.46)より有意に低かったが(p=0.007)、統合失調症患者群(2.56±0.40)よりは低かったものの有意差はなかった(p=0.06)。 若年患者における比較検討が必要ではあるが、55歳以上の高齢者を対象とした解析では妄想性障害においてはドパミントランスポーター機能が20%以上低下しており、この点は同じく妄想を呈する統合失調症患者とは異なっており、老年期の妄想発生にドパミントランスポーター機能が関与している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者においては概ね順調に進んでおり、疾患対照とする統合失調症に関しても順調に進んでいる。一方で若年者に関しては積極的な募集が必要と考える。
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今後の研究の推進方策 |
若年発症の妄想性障害の被験者数を増やす事で、今回得られた所見が妄想性障害全体において認められる所見なのか、高齢者においてのみ認められるものなのかを検討していきたい。統合失調症患者については、若年、高齢両群ともに更なる被験者を集めることで、妄想性障害と統合失調症との関連を検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ保存等に必要な物品の購入を予定していたが、当初予想よりも安い金額で購入する事が出来たため、物品比が少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
データ量は今後増える予定であるため、次年度物品費で使用する予定である。
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