研究課題/領域番号 |
25461789
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
眞野 あすか 日本医科大学, 医学部, 講師 (50343588)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ストレス / 視床下部 / 摂食行動 / 神経性食欲不振症 / CRF |
研究実績の概要 |
精神的ストレスが発症に関与している神経性食欲不振症は、その病態形成にストレス伝達物質である副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRF)の過剰分泌が関与していることが示唆されている。CRFはストレス時に視床下部ー下垂体ー副腎軸を活性化することで生体防御反応に寄与しているが、摂食中枢である視床下部弓状核でのCRFの働きについては不明である。昨年度神経性食欲不振症のモデル動物である活動性拒食症(active-based anorexia: ABA)ラットの作出に成功しでいることから、本年度はABAラットの視床下部における神経活動についてFosタンパク発現を指標として解析した。 回転かご式自発運動測定装置を備えた飼育ケージにてラットを飼育し、昨年度と同様の方法で摂食量を午後3時から午後5時に制限してABAラットを作出した。摂餌制限開始から4日目にパラホルムアルデヒドにて灌流固定し、取り出した脳を用いてFosタンパクの免疫染色を行った。室傍核におけるFosタンパクの発現は、ABAラットで多く認められた。室傍核はCRF産生細胞が多く存在する神経核であることから、ABAラットの行動異常に室傍核のCRFが関与していることが推測された。弓状核でのFos発現は他の群と変わらなかったが、今回の作出条件では運動量は著明に増大するが摂食量の抑制の程度が弱いため、弓状核での変化には至らなかった可能性が考えられる。摂食制限の時間を変えることで摂食抑制の程度を増大させることが可能であることが先行研究により明らかであるので、摂餌制限の条件を変えて再度検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫組織化学やストレス負荷など、既に習得している研究手法を用いることで、技術習得に要する時間は短縮できている。また、研究施設も本研究を遂行するにあたり十分に整備されており、研究の順調な進展に貢献していると考えられる。しかしながらABAラットの作出条件を再度検討する必要性が生じたため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の研究計画に基づき平成27年度はABAラットの摂食抑制におけるCRFの関与について検討する。本年度の研究結果からCRFニューロンが多く存在している室傍核の神経活動が多かったことから、ABAラットの病態形成の一部に室傍核のCRFが関与している可能性が高い。そこでCRF1型受容体拮抗薬を投与することで、ABAラットの摂食抑制が解除されるか否かを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラットの購入費用が予定より小額であったため、結果として執行額が少なくなってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度はサンプリングを多く行ったことから、未だ染色を行っていないサンプルが多数保存されており、それらの免疫染色を行うために使用する予定である。
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