研究課題
感覚刺激に対する大脳皮質反応について更に検討を行った。侵害受容性刺激による大脳皮質反応は電気刺激のパラメータを操作することにより、安定して記録が可能になっている。病的な状態としては、Wallenberg症候群また脊髄空洞症を有する患者にAδ神経刺激、Aβ神経刺激を同部位に別々に行い、その反応を調べた。それぞれの疾患は延髄、脊髄領域で感覚乖離(触覚の維持+痛覚の消失)を特徴的にしめす病態として知られている。実際、Aδ、Aβ神経末梢刺激を行うと、大脳誘発電位でAδ神経の反応は減少あるいは消失しているが、Aβ神経の反応は保たれていた。更に痛覚脱失が改善した時点で同様の評価を行うと、Aδ神経刺激に対する反応が完全に回復する様子が観察された。これは、器質的な評価のみならず、機能的な評価、またそれを可視化することの必要性を示唆している。しかし、興味深いことに外因性に与えられた侵害受容刺激に対する反応は低下しているにも関わらず、自発的な痛みや違和感が存在する病態があることも分かってきた。むしろ、自発痛は実験的な疼痛反応を抑制する可能性もある。残念ながら、慢性痛においては一貫したデータが得られなかったが、侵害受容の特異的刺激とその大脳皮質反応を調べることの臨床的な意味は十分に確認できた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
最新医学
巻: 72 ページ: 106-9
Clin Neurophysiol.
巻: 127 ページ: 1923-8
10.1016/j.clinph.2016.01.008.
Pain Res Manag.
巻: - ページ: 3689352
10.1155/2016/3689352.