研究課題
基盤研究(C)
近年、メンタルヘルスへの関心の向上に伴い、ストレスの客観的評価法に注目が集まっている。本研究では唾液を用い非侵襲的に測定できるストレスマーカーの開発を目的としている。古くからコルチゾール、アミラーゼ、クロモグラニンAなどがストレスマーカーとしてよく知られている。しかし本指標は急性ストレスのみを反映する点や、日内変動があることより、マーカーとして安定しているとは言い難い。本研究では既知のストレス指標に比して、慢性的なストレスを反映し、なおかつ日内変動の影響が比較的少ない安定した唾液中ストレスマーカーを開発することが目的である。平成25年度は上記の生物学的マーカーの客観的裏付けとして用いる心理定量的な評価尺度の標準化を進めた。その結果、健常者370名、小児科及び精神科通院患者73名、小児がん経験者110名を対象として、小児抑うつ尺度(CDI)、小児行動評価尺度(YSR)、精神科半構造面接(MINI)を施行した。その結果小児科及び精神科通院患者において、有意に抑うつが高い現状が明らかとなった。今後標準化に向けて、信頼性を証明する調査を行いさらなる解析を行う予定である。上記を踏まえて平成26年度は新たに健常者を対象とした唾液中マーカーの研究を開始する予定である。唾液中マーカーと心理尺度の相関を検索し、生物学的な裏付けを行う予定である。今後はさらに小児科及び精神科通院児童を対象として唾液中マーカーの測定を行い、その結果の意義を明らかにすることを計画している。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目標として子どものうつ病あるいは抑うつ状態に関連するストレスマーカーが明らかにされることで,早期発見や関連要因への適切な働きかけが可能となり,自殺予防への重要な足がかりとする事とした。初年度としては、ストレスマーカーの裏付けとなる心理尺度の開発が順調に進み、平成26年度にその成果の一部を学会発表する予定となっており、おおむね順調な進展状況と考える。
健常者を対象とした唾液中マーカーの研究計画を策定し、久留米大学倫理委員会での承認を経たのちに30名~50名を目標に調査を行う予定である。その解析の結果、心理評価尺度が標準化され、唾液中マーカーとの相関が明らかにされる予定である。
旅費、人件費、その他について十分予算を使い切ることができなかった。当初予定していた健常者対象の調査が平成26年度にずれ込んだため、謝金を使うことができなかった。健常者を対象とした唾液中マーカーの謝金として使用する予定である。また、旅費に関しても国際学会をはじめ積極的に参加し、研究協力者とも活発に交流して消費してゆく予定である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Biopsychosoc Med.
巻: 8 ページ: 9
10.1186/1751-0759-8-9
Pediatric Surgery International
巻: 29 ページ: 753-757
10.1007/s00383-013-3305-9
日本小児血液・がん学会雑誌
巻: 50 ページ: 220-226