研究課題/領域番号 |
25461793
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
大園 秀一 久留米大学, 医学部, 助教 (10309784)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 唾液中マーカー / 心理評価尺度 / 児童精神 / 小児心身症 |
研究実績の概要 |
本研究では唾液を用いて非侵襲的にストレスを測定する生物学的マーカーを開発することを目的としている。コルチゾールやアミラーゼなどの研究が多く報告されているが、急性ストレスや健常人の日内変動に焦点があたった研究であり、慢性ストレスに焦点が当たった研究は報告されていない。 平成25年、26年度においては健常小児22名と小児科外来通院中の心身症患者6名を対象として1日5回の唾液採取を行い、その日内変動パターンを検証した。予備研究の結果としてコルチゾールと免疫グロブリン(IgA)を測定した結果、患者群における起床直後のIgAが低い傾向(健常群137 vs 患者群 63.6μg/ml)が認められたが、統計学的には有意で無かった。コルチゾールにおいては、1日5回の観測点すべてにおいて有意差は認めれらなかった。心身症患者においては慢性的な身体症状と社会活動が制限されることのストレスにより視床下部ー下垂体ー副腎系の内分泌機能が低下することが知られているが、本予備調査では関連した免疫系の低下が示唆される結果となった。対象患者数が少なかったこともあり統計学的有意差が認められなかった。 平成27年度は施設を拡大(カナダ、ブリティッシュコロンビア小児病院)し、より多くの臨床患者にアプローチすることにより統計学的にも意義のある研究を継続する計画である。さらにマーカーもコルチゾル、IgAの他クロモグラニンAや3-methoxy 4-hydroxyglycolなどカテコラミン系のマーカーにも注目して、慢性心身症患者の症候やストレスとの関連について明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的として、唾液中のマーカーの検索を行う事と心理質問紙の開発を行うこと。また両者の関連を検証することを目的としていた。 唾液中マーカーは2年度目に予備研究を行い一定のデータを得ることができ、同時に行った質問紙調査において標準化に必要なデータが出そろい学会及び論文発表の前段階まで来たため、おおむね順調に進展していると考える。 最終年度で上記3つの目的に出来る限り近づけるよう研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
研究施設を拡大し、臨床患者により焦点を当て研究のリクルートを行う。年度中に一定のデータをまとめ、非侵襲的なマーカーを明らかにする。 心理評価尺度の標準化がなされ、唾液中のマーカーとの相関が明らかにされることにより、児童思春期のメンタルヘルス向上に役立つツールがより子供たちや家族に身近な存在になる。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費、謝金について十分予算を使い切ることが出いなかった。最終年度に本格的に調査を行うため、3年間で使い切る予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
健常群、臨床群ともに精力的に調査を行い、謝金を支出する予定である。この他成果を発表する国際学会への旅費や参加費、測定キットにも支出する予定である。 現在海外勤務であるため、事務作業の一部を秘書に依頼している。このため、秘書の事務作業への謝金も支出する予定である。
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