研究課題/領域番号 |
25461800
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 春夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90170521)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心臓 / 磁気共鳴画像(MRI) / 回転運動 |
研究実績の概要 |
心筋運動解析用ファントームを改良し、動く本体部分の局所に運動制限ができるようにした。局所の動きを制限すると、全体的な運動に不自然さが残るようになったため、動きの制限方法を改善して、動きが滑らかで、不自然さが無いようにし、ファントームの内膜面と外膜面の局所運動解析への応用可能とすることを目指し工夫を重ねている。 5名のボランティアの心臓MRI(短軸像、二腔長軸像、四腔長軸像)のMRI Tagging画像を用いて、二腔長軸、四腔長軸の、各時相のTagの交点の座標の動きを解析した。長軸方向のTag交点の動きの座標計測では、長軸方向の動きに個人差が大きく、一定の傾向が得られなかったので、5名のボランティアの心臓MRIを追加し、短軸の動きに長軸運動を加味する方法をさらに検討中である。計10名のボランティアの心臓MRI 画像の解析では、現在までに、短軸画像において、Cine MRI 画像による内膜面の運動解析が可能であることを確認しており、長軸像についても、全体的な動きについては解析可能であることが確認できた。“短軸のCine画像によって回転運動を評価するソフトウエア”が開発されつつ有るが、現在のところ市販されてはいない。1断面の短軸のみによる回転評価と、短軸に長軸方向運動を加味して3次元的な動きを捉え、局所心筋運動の短軸断面における回転成分の評価を比較検討すること、さらに、Tag画像による検討を踏まえて、Cine画像による3次元的運動解析に研究を広げてより精度の高い局所真菌運動評価法の確立を目指す。 肺高血圧症に対する血管内治療の効果判定に応用し、治療後早期には心筋の部位によって回復に違いが認められることを見いだした。成果は、International Society of Magnetic Resonance in Medicine 2015年総会(トロント、6月)に採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心筋ファントームは、左心室の捻れの運動を模擬できるようにできたが、運動制限を加えると、ファントームの動きに滑らかさが無くなる。現在、対処法を検討中である。 ボランティアの心臓MRI Tagging画像の解析では、長軸運動の程度に部位による個人差が大きく、一定の傾向が得られていないので、各個人の長軸による運動情報を短軸画像の運動情報に反映させる必要があることが分かった。現在、Tag画像において各個人の長軸による運動情報を短軸画像の運動情報に反映させる段階に入っている。今後、解析を進め、Cine画像による解析に発展させていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
心筋ファントームでは、左心室の捻れの運動を模擬できるようにできているので、ねじれ運動のみのファントーム画像を解析することを行う。CTでのファントーム撮像では、外膜側には模擬血管を置くことで、運動の指標とできるが、内膜側には指標を置くことができていない。現在までの指標の置き方では、ファントームの動きに制限が加わるが、ファントームの動きが生体の動きに近い内膜面の特徴点を形成するべく、ファントームの改良を行うべく更に工夫を重ねる。 ボランティアの心臓MRI 画像の解析は、二腔長軸、四腔長軸の動きにより、短軸上の4箇所(90度おき)の長軸方向への動きを検討し、これを、短軸の連続する2断面の動きに適用して、Tag交点の動きを3次元的に評価する方針で検討してきたが、長軸運動の程度に部位による個人差が大きく、一定の傾向が得られていないので、各個人の長軸による運動情報を短軸画像の運動情報に反映させる必要があることが分った。現在は、Tag画像において各個人の長軸による運動情報を短軸画像の運動情報に反映させる段階に入っている。解析が軌道に乗れば、Cine画像による解析に発展させていく予定である。 短軸像のみによる回転運動の評価では、肺高血圧症に対する血管内治療の効果判定に応用し、治療後早期には心筋の部位によって回復に違いが認められることを見いだした。さらに、他の疾患においても短軸像のみによる回転運動の評価を行い、運動評価の有用性を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を北米放射線学会(シカゴ、2014.12月)で報告する計画であったが間に合わず、世界医用MR学会(トロント、2014.6月)での発表、情報収集としたため。
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次年度使用額の使用計画 |
世界医用MR学会(トロント、2014.6月)での発表、情報収集の費用に充当する。
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