心筋運動解析用ファントームの拍動部分の全体的な運動にあった不自然さはかなり改善し、ファントームの内膜面と外膜面の局所運動解析への応用可能とするめどが付いた。心筋運動解析用ファントームに拍動ポンプ機能を付加するように改良し、離れた位置に動く本体部分を置いてファントーム実験可能とした。MRI室内に拍動部分を置いて運動を観察できるようになった。 10名のボランティアの心臓MRI(短軸像、二腔長軸像、四腔長軸像)のMRI Tagging画像を用いて、各時相のTagの交点の座標の動きを解析した。長軸方向のTag交点の動きの座標計測では、長軸方向の動きに個人差が大きく、一定の傾向が得られず、短軸の動きに長軸運動を加味する方法は個別に検討する必要がある。計15名のボランティアのCine MRI画像の解析では、短軸画像において内膜面の運動解析が可能であることを確認しており、長軸像についても、全体的な動きについては解析可能であることが確認できた。“短軸のCine画像によって回転運動を評価するソフトウエア”は現在のところ市販されてはいない。1断面の短軸のみによる回転評価のみになるが、局所心筋運動の短軸断面における回転成分の評価し、Cine画像による3次元的運動解析に研究を広げてより精度の高い局所心筋運動評価法を確立したい。 肺高血圧症に対する血管内治療の効果判定に応用し、治療後早期には心筋の部位によって回復に違いが認められることを見いだした。成果は、International Society of Magnetic Resonance in Medicine 2015年総会(トロント、6月)で報告し、Magna Cum Laudeを受賞した。
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