研究課題
基盤研究(C)
・ヒト末梢血単核球分画、CD19 positive selection分画, CD19 negative selection分画からRNAを抽出、cDNA作成後、GLUT1-GLUT12の発現をリアルタイムPCR法で調べたところ、CD19 negative selection分画がコントロールとして最もふさわしいことがわかった。・次にリンパ腫細胞株(CTB-1、TL-2、SLVL、HKBML、HDMar2)のGLUT1-12遺伝子発現量をCD19 negative selection細胞由来のCDNAをコントロールとして調べたが、明らかに発現量が増加しているGLUTのサブタイプはなかった。現在、実際のリンパ腫患者のリンパ節生検検体、CLL患者検体のGLUT1-12遺伝子発現量をmRNAで調べている。・リンパ腫患者のリンパ節生検検体の未染パラフィン切片を用いて、GLUT-1、GLUT-3、hexokinase(HK)の免疫組織化学染色の条件設定を行った。また、FlowcytometryによるGLUT1の発現についても検討し、至適条件を決定した。・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)10、低悪性度リンパ腫5(濾胞辺縁帯リンパ腫3、SLL2)症例で、GLUT-1、GLUT-3、HKの免疫組織化学染色を行った。現在評価の途中であるが、コントロールの肺がん組織と比較してリンパ腫検体の染色性は総じて弱い傾向があった。ただし、DLBCLでFDG-PETでSUVmaxの高い症例は、低悪性度リンパ腫およびDLBCLでFDG-PETのSUVmaxの低い症例に比較しやや染色陽性率の高い傾向がある。さらに症例数を増やして検討中である。・これらと並行して、DLBCL症例のBCL-2、BCL-6、MUM-1染色を実施し、GCタイプかNon-GCタイプかの判定を行っている。
3: やや遅れている
・5種類の細胞株でのGLUT1-12の遺伝子発現量は、対象としたヒト末梢血単核球CD19 negative selection分画よりも予想外に総じて低く、GLUT1-12高発現の細胞株を見つけられなかった。今後、細胞株を増やすとともに、コントロールとする対象年齢を広げ、年齢によるGLUTの発現に違いがないか検討している。・GLUT1、GLUT3、HexokinaseIIの免疫組織化学染色は、至適条件を見つけるのに時間がかかった。しかし、染色条件は決まったので、これらタンパクの免疫染色はどんどん進められる。・フローサイトメトリーによるGLUT1のタンパクレベルでの発現も可能となった。今後、実際の臨床検体を用いて症例を増やして検討する。しかし、当初予定していたGLUT3、Hexokinaseのフローサイトメトリの至適条件は見つけられなかった。mRNAレベルでの発現が低いことが原因と考えている。・同様に、BCL-2、BCL-6、MUM-1の免疫組織染色も条件設定に時間がかかった。しかし、条件が決まったので、今後は検体を増やして検討予定である。
細胞株でのグルコーストランスポーター解析は、検討するリンパ腫細胞株の種類を増やしてGLUT1-12の遺伝子発現量を検討する。さらに、対象とする細胞株をリンパ腫のみならず白血病、多発性骨髄腫に広げて検討する。・実際のリンパ腫症例のGLUT1-12の遺伝子発現量をリアルタイムPCR法で検討する。また各病理組織型でのGLUT1、GLUT3、Hexokinase免疫組織染色を行い、その発現量とFDG-PET結果との相関を検討する。また、DLBCLでのBCL-2、BCL-6、MUM-1の免疫組織染色を進め、GC-tyoe, Non-GC typeかを決め、その亜型とFDG集積との相関を明らかにする。・リンパ節生検の検体を使って、GLUT1のフローサイトメトリによる陽性率とFDG-PETのSUV値との相関を検討する。
・免疫染色、フローサイトメトリの条件設定、コントロールとして当初予定していた末梢血CD19 negative selection分画でいいのか決定するのに時間がかかり、臨床検体を用いた解析が進まなかった。・GLUT1-12を高発現しているリンパ腫細胞株がなかったため、遺伝子導入実験、siRNA導入実験等が進められなかった。・免疫染色、フローサイトメトリの条件が決まった。すでにストックしてあるリンパ節生検臨床検体を用いて、GLUT1-12、Hexokinaseの免疫染色、リアルタイムPCRによる解析を進める。また、新規生検検体を用いて、フローサイトメトリによるGLUT1の発現量を測定し、臨床像、FDG集積との相関を検討する。・検討する細胞株をリンパ腫細胞株のほかに白血病細胞株にも広げ、GLUT1-12を高く発現している細胞株を見つけ、遺伝子導入実験を行う。
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