研究課題
本研究は、分子バイオマーカーと一般的な画像所見(CT, MRIなど)の対比から、肝癌の早期診断、性状診断や治療効果予測・判定における有効な肝癌の分子バイオマーカーを反映する画像所見(バイオマーカー)を検索することを目的としている。これまでに、Gd-EOB-DTPA造影MRI(EOB-MRI)の本目的での有用性を検討し、1.肝癌におけるEOB-MRI肝細胞相の信号強度は肝癌におけるOATP1B3発現の間接的な分子イメージングであることを明らかにした。OATP1B3が高発現する肝癌は成熟肝細胞に近い形質を有しまた高率にβ-catenin mutationを示すことを明らかにした。さらにその予後は他の肝癌に比べ良好であり、生物学的に悪性度の低い肝癌であることを報告した。またその遺伝子学的背景を明らかにし、HNF4αの高発現がOATP1B3の高発現と生物学的に悪性度の低い肝癌としての特徴を規定する重要な転写因子であることを昨年度から本年度にかけて明らかにし報告した。また本年度はβ-caenin mutationを伴う肝癌CT/MRI所見を解析し報告した。肝癌の診断における上記の画像バイオマーカーとしての有用性の検討と平行して、肝癌類似病変の分子病理学的背景と画像所見の関連を検討し、肝癌との鑑別診断や治療応用における有用性を検討した。
2: おおむね順調に進展している
当初の目的にそってほぼ順調に研究が進行している。動物実験系の確立は当初の目的ではないが昨年来挑戦するものの十分な成果が得られていない。
次年度は最終年であり、これもまでに得られた肝癌subtypeであるβ-catenin mutation肝癌とステムセル系肝癌の画像所見の差異を明らかにしてこれらの判定における画像バイオマーカーを明らかにしたい。
免疫染色等の研究計画・進行がやや遅れたことが主な理由である。
最終年度で最終的な研究計画を遂行する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
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