研究課題/領域番号 |
25461811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石田 正樹 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (10456741)
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研究分担者 |
北川 覚也 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (50378353)
佐久間 肇 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60205797)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心筋血流PET / 心筋血流MRI |
研究概要 |
本研究の目的は、3D PET/CTによる15O H2O心筋血流PETをゴールドスタンダードとした、3テスラ心筋血流MRIの心筋血流量定量評価法の開発と心筋血流量・心筋血流予備能の比較検証と、これを用いて冠動脈疾患患者の診断と治療方針決定における負荷心筋血流MRI定量解析の有効性の評価することである。本年度は、3D PET/CT装置を用いた15O H2O心筋血流PETの撮影方法および3テスラ心筋血流MRIの造影剤投与方法の最適化を中心に行い、最適化された方法を用いて虚血性心疾患患者にて15O H2O心筋血流PETおよび3テスラ心筋血流MRIを実際に撮影した。本研究で使用される3D PET/CT装置を用いた15O H2O 心筋血流PETでは、光子の検出感度向上とノイズ低減により、15O標識水トレーサーの注入量を従来法より減少できる。実際の撮影時と同じ15O標識水注入条件下で、ファントム実験を行ったところ、カウントと放射能の関係は0MBqから200MBqまでは直線性を示した。虚血性心疾患患者6例で、15O H2O心筋血流PETを撮影した場合、安静時、負荷時心筋血流、心筋血流予備能は、それぞれ、冠動脈狭窄領域で1.08±0.28mL/min/g、1.79±0.31 mL/min/g、1.69±0.24、リモート心筋領域で1.46±0.63mL/min/g、2.82±0.76 mL/min/g、2.38±1.43であった。また、心筋血流MRIでは左室内腔の血液信号は造影剤濃度が上昇すると、濃度と信号に直線関係がなくなることが知られるが、3テスラ装置では1.5テスラ装置と比べこの特性は異なる。2種類のガドリニウム造影剤の濃度依存的な信号強度上昇の非直線性の特性について、ヒト血液ファントムを用いて検討した。実際の患者撮影条件に合わせて、Saturation delayを110msに設定しSENSEおよびk-t SENSEを併用したグラディエントエコー法で撮影した。いずれの造影剤、撮影方法でも造影剤濃度-信号曲線にあきらかな差はみられず、直線性は0-約6mMで保たれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究として、①3D PET/CT装置を用いた15O H2O心筋血流PETの撮影方法の最適化、②3テスラ心筋血流MRIの造影剤投与方法の最適化、③虚血性心疾患患者を対象にアデノシン負荷時と安静時の15O H2O心筋血流PETおよび3テスラ心筋血流MRIを撮影し心筋血流量を定量解析すること、を計画していた。①、②についてはおおむね計画通り研究を進めることができた。すなわち、フィンランド・Turku PET centreを訪問し、15O H2O心筋血流PET撮影方法関するアドバイスに従いファントム実験を行い15O H2O心筋血流PET撮影方法を最適化した。虚血性心疾患患者において15O H2O心筋血流PETの撮影を開始した。また、3テスラ心筋血流MRIの造影剤投与方法もファントム実験に基づいて最適化を行った。また、3テスラ心筋血流MRIの撮影条件を再検討し画質の改善を得た。しかし、①、②の検討にやや時間を要したため、虚血性心疾患患者を対象とした負荷、安静の15O H2O心筋血流PET および3T心筋血流MRIの撮影は6人で行うことができたが、計画した25例にはいたらなかったため、「当初よりもやや遅れている」状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、虚血性心疾患患者を対象とした、アデノシン負荷時および安静時の3テスラ心筋血流MRIおよび15O H2O心筋血流PETについて症例を重ねて実施し、それぞれの方法で定量評価された心筋血流量および心筋血流予備能を比較する。さらに、冠動脈狭窄の形態と機能的狭窄度の診断方法であるX線冠動脈造影とFFR(Fractional Flow Reserve)が実施された患者においては3テスラ心筋血流MRIによる心筋血流定量評価法の診断能を検討し、侵襲的な検査であるX線冠動脈造影やFFR計測を3テスラ心筋血流MRIによる高精度の心筋血流定量解析で代替できるかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度中に、購入を計画していた15O H2O心筋血流PETの画像解析ソフトウェアについて無料トライアル版を使用して、実際の虚血性心疾患患者で撮影された15O H2O心筋血流PETの画像を解析し確認したところ、本研究に必要な解析が一部困難であることが判明した。本年度では、15O H2O心筋血流PETおよび3テスラ心筋血流MRIの撮影方法についての最適化にやや時間を要し達成度は「当初よりもやや遅れている」ため、実際の患者データを用いたソフトウェアの適否の検討にも遅延が生じた。そのため、次年度でのソフトウェア購入が必要になった。現在、購入するソフトウェアの選定が終了しており早期の購入を予定している。 次年度の研究費は主に、15O H2O心筋血流PET および3T心筋血流MRIの画像解析ソフトウェア購入、15O H2O心筋血流PETにおける物品購入、参考図書の購入、研究成果を踏まえた打ち合わせのためのフィンランド・Turku PET center訪問や研究成果を国内学会・国際学会で発表するため旅費として使用する予定である。
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