研究課題/領域番号 |
25461811
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石田 正樹 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (10456741)
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研究分担者 |
北川 覚也 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (50378353)
佐久間 肇 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60205797)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心筋血流PET / 心筋血流MRI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、3D PET/CTによる15O水標識心筋血流PETをゴールドスタンダードとした、3テスラ心筋血流MRIの心筋血流定量評価法の開発、心筋血流量・心筋血流予備能の比較検証、これを用いた冠動脈疾患患者の診断と治療方針決定における負荷心筋血流MRI定量解析有用性の評価である。本年度は、まず、1)15O水標識心筋血流PETの解析方法の最適化を検討した。①CTによる吸収補正を行わない15O水心筋血流PET/CTによる心筋血流定量評価は可能かについて検討した。心筋血流量(MBF)、心筋血流予備能(MPR)ともに吸収補正ありと吸収補正なしの解析間で高い相関(MBF、r2=0.89、slope 0.90、ICC 0.93;MPR、r2=0.86、slope 0.92、ICC 0.92)が示され吸収補正なしでも15O標識水心筋血流PET/CTの定量解析は可能であることが示唆された。また、②CTによる吸収補正を行った場合では、PET画像とCT画像の一ずれが問題となるが、どの程度のずれまで許容されるかを検討した。両者のずれが8mmを超えると前壁中隔で心筋血流が過大評価 されるが(reference vs. 8mm- misregistration: seg. 1, 1.02±0.19 ml/min/g vs. 1.11±0.19 ml/min/g, p=0.015; seg. 7, 1.07±0.21 ml/min/g vs. 1.23±0.21 ml/min/g, p=0.015; seg. 12, 1.06±0.22 ml/min/g vs. 1.14±0.23 ml/min/g, p=0.027)ずれが6mm以下であれば問題ないことが示された。さらに、2)3テスラ心筋血流MRI用の心筋血流定量解析ソフトウェアの調整を行った(①ファントム実験で前年度に得られているガドリニウム造影剤の濃度依存的な信号強度の非直線性の情報を、心筋血流定量ソフトウェアに組み込み、心筋血流計測時に適切に補正がなされるように実装、②4種類のモデルを実装)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究として、①3テスラ心筋血流MRIによる定量解析方法の最適化、②虚血性心疾患患者20症例を対象に、3テスラ負荷心筋血流MRIおよび15O標識水心筋血流PETの撮影を行い心筋血流量・心筋血流予備能の結果の比較検討、③同じ患者20症例を対象に3テスラ心筋血流MRIから得られる心筋血流量・心筋血流予備能の冠動脈造影やFFRに対する診断能の検討、を計画していた。①は計画どおり実施できた。②は、全体で13症例において計画した検査を実施した。③は、上記13症例で3テスラ心筋血流MRIの心筋血流定量解析を現在進めている。3テスラ心筋血流MRIおよび15O標識水心筋血流PETの撮影法・解析法についての検討は計画通り実施できたが症例のリクルートが計画数に達せず「当初よりやや遅れている」状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、虚血性心疾患患者を対象とした、薬剤負荷時および安静時の3テスラ心筋血流MRIおよび15O H2O心筋血流PETについて症例を重ねて両者の比較検討を行い、3テスラ心筋血流MRIによる心筋血流定量評価が侵襲的検査法である冠動脈造影検査やFFRを代替できるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究状況が「当初よりやや遅れている」であり、使用期限のある15O標識水心筋血流PETにおける物品の購入を一部見合わせたため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費は主に、15O標識水心筋血流PETにおける物品購入、参考図書の購入、研究成果を国内学会、国際学会で発表するための旅費として使用する予定である。
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