研究課題
本研究の目的は、15O水心筋血流PETをゴールドスタンダードとした、3テスラ心筋血流MRIの心筋血流定量評価法の開発、心筋血流量・心筋血流予備能の比較検証、これを用いた冠動脈疾患患者の診断と治療方針決定における負荷心筋血流MRI定量解析有用性の評価である。本年度は1)15O水心筋血流PETを行った患者9名の非梗塞心筋の心筋血流を評価した。安静時、負荷時の心筋血流は1.2mL/min/g, 3.3mL/min/g、心筋血流予備能は4.1であった。2)心筋梗塞の既往のない患者9名で、心筋血流定量解析ソフトウェアを用い心筋血流MRIを解析した。その際、我々が用いたパトラック法と欧米を中心に用いられいるデコンボリューション法を比較した。パトラック法では安静時、負荷時心筋血流は1.2mL/min/g、3.9 mL/min/g、心筋血流予備能は4.7であった。一方、デコンボリューション法では安静時、負荷時の心筋血流、心筋血流予備能は、それぞれ0.6mL/min/g、1.4mL/min/g、2.8であり、負荷時心筋血流と心筋血流予備能はいずれもパトラック法で求めた値より有意に低い値を示した。1)、2)から、デコンボリューション法では負荷時心筋血流および心筋血流予備能が過小評価されるという仮説を導出した。3)梗塞の既往のある患者を含む患者16名で、心筋血流MRIとT1マッピングから算出された造影剤の細胞外液分画(ECV)との比較から、心筋のK1とK2を一度の検査から相補的に算出する方法を考案した。梗塞の程度によりK1、K2、ECVに有意差があることが示された。4)15O水心筋血流PETと心筋血流MRIの両方が撮影された患者30名に達した。この群において15O水PETと心筋血流MRIから算出した心筋血流値を対比させ心筋血流MRIの定量評価方法の検証するため画像解析を施行中である。
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