研究課題
基盤研究(C)
MRIにおける酸素吸入イメージングを確立するために、研究計画に従い今年度は以下のような成果が得られた。1. (A) 酸素吸入イメージングにおける高磁場MRI 装置の優位性の証明のために、3 テスラ、1.5 テスラMRI 装置を使用して、時間分解能が約28秒程度の反転パルス併用の撮影法、および、反転パルスを用いずに約10 秒程度の高時間分解能の高速撮影法を開発し、3 テスラ(高磁場)、1.5 テスラMRI(低磁場)装置の両方にて酸素吸入イメージングを行った。それぞれ酸素吸入による脳脊髄液腔の信号変化を認め、高時間分解能の酸素吸入イメージングは実現できた。脳脊髄液腔のうち、脳室系とクモ膜下腔とで信号変化に違いがあることも示され、基礎実験にとどまらず、脳脊髄液腔の部位による酸素の拡散の違いが示された。2. (B) 高時間分解能を保った高空間分解能の酸素吸入イメージングの確立 については、まずは高空間分解能を保った3Dイメージングに取り組み、酸素吸入前後で一定の変化を観察できた。T1緩和時間を算出するMatlabを用いた解析プログラムを作成し、酸素による変化を観察し始めている。次の段階として、高時間分解能化を図っていく予定である。3. (C) 酸素吸入イメージングにおける脳脊髄液の動態解析モデル解明への取り組み、については、現在、モデル解析プログラムを検討している。(D) 酸素吸入による脳血管・脳脊髄液の動的MR イメージングの臨床への応用、については、(B)の高時間分解能化を保った高空間分解能の酸素吸入イメージングの進行状況に合わせて、今後検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
1. (A) 酸素吸入イメージングにおける高磁場MRI 装置の優位性の証明のために、3 テスラ、1.5 テスラMRI 装置を使用して酸素吸入イメージングを行った。まずは、高磁場MRI装置での高時間分解能の酸素吸入イメージング自体の報告が少なかったため、3 テスラMRI 装置における酸素吸入後の信号変化の結果を第41回日本磁気共鳴医学会(平成25年、徳島市)で発表し、現在論文投稿済みである。また、同様の内容を国際磁気共鳴医学会(ISMRM 2014)で発表予定である。1.5 テスラMRI 装置における酸素吸入後の信号変化の結果を第30回欧州磁気共鳴医学会(平成25年フランス)においてそれぞれ発表した。定性的には現時点では高磁場MRI装置の優位性は確認できているが、定量的評価方法を開発中であり、定量的に比較する方向で検討を行っている。また、脳脊髄液腔のうち、脳室系とクモ膜下腔とで信号変化に違いがあることから、脳脊髄液の産生、分布の部位による酸素の拡散の違いが示されたことから、撮影方法・解析方法を含めた知的財産を見出したため、特許を出願中である。ほぼ全体的に達成できている。2. (B) 高時間分解能を保った高空間分解能の酸素吸入イメージングの確立 については、まずは高空間分解能を保った3Dイメージングに取り組み、実際にデータを蓄積中である。高時間分解能化を図っていく予定である。約1/2程度の達成度と考えられる。3. (C) 酸素吸入イメージングにおける脳脊髄液の動態解析モデル解明への取り組み、 (D) 酸素吸入による脳血管・脳脊髄液の動的MR イメージングの臨床への応用、については、今年度以降に進展させていく。以上を総合して、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
(A) 酸素吸入イメージングにおける高磁場MRI 装置の優位性の証明としては、定性的には現時点では高磁場MRI装置の優位性は確認できているが、定量的評価方法を開発中であり、定量的に比較する方向で検討を行っている。完全な定量的評価が最善ではあるが、簡易的な半定量的な手法を用いる可能性も残っている。(B) 高時間分解能を保った高空間分解能の酸素吸入イメージングの確立、(C) 酸素吸入イメージングにおける脳脊髄液の動態解析モデル解明への取り組み、 (D) 酸素吸入による脳血管・脳脊髄液の動的MR イメージングの臨床への応用、については、順次進展させていく予定であり、方向性については明確であるため、これまでの研究を継続していき、データ蓄積、解析を努める。
(A)酸素吸入イメージングにおける高磁場MRI 装置の優位性の証明としては、定性的には現時点では高磁場MRI装置の優位性は確認できているが、定量的評価方法を開発中であり、定量的に比較する方向で検討を行っている。定量的評価方法開発として、新たなワークステーション費用および解析ソフトウエア、情報収集のための学会参加などを予定しており、未使用額を次年度使用額として使用することする。定量的評価方法開発ワークステーション購入、解析用のソフトウエア購入、情報収集のための学会参加を予定している。
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