研究課題/領域番号 |
25461817
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
麻生 俊彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50397543)
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研究分担者 |
浦山 慎一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10270729)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 機能的MRI / 結合性 / 安静時機能的MRI / 正常圧水頭症 / 認知症 |
研究概要 |
従来法であるグラディエントエコーBOLD法よりも特異性が高いスピンエコーBOLD法にもとづく機能的結合性MRIによって、認知機能に支障をきたす疾患のバイオマーカーを確立するという目的に向け、まず撮像および解析手法の開発を健常者で行った。ランダムな変動を評価するという機能的結合性MRIの特性から、必然的に脳の神経活動とカプリングしないノイズと呼ぶべきアーチファクトが豊富に混入する。これを適切に除去する手法を開発するうえで、その処理によって、「従来のグラディエントエコーBOLDとスピンエコーBOLDとで結合性マップの結果が近づくこと」を指標とした。独立成分分析で分解した成分を、(1)時間周波数のパワースペクトラムが高い領域に分布すること、(2)脳実質の外の信号への寄与が大きいこと、といった基準で分類し、ノイズ除去を最適化した。この結果の一部を国際学会で報告した。 並行して、計画のとおり「治る認知症」といわれる正常圧水頭症の症例でタップテスト前後の機能的結合性MRIを撮像した。症例数は現在のところ5例であるが、例数を増やすだけでなく、縦断的な解析を目指して患者群のデータを持続的に取得しており、多いケースではすでに3回の撮像を行っている。全てのタイミングで歩行のビデオ撮影、運動機能や認知機能を評価しており、結合性MRIの結果との相関を評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例でのデータ取得は予定よりも早く開始できた。また撮像方法・解析方法も前述のとおり最適なものを定めることができ、スピンエコー法による機能的結合性MRIの実験系は完成した。 その一方で、現有MRI装置の故障によって、大学病院での症例によるデータ取得が進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現有3T-MRI装置は再び利用できる状態となり、アップグレードも完了したので、関係各科の協力をあおぎ大学病院での症例撮像を開始する。 並行して、関連病院でのデータ収集も行う。いずれもiNPH症例の縦断的観察を目指して、期間内になるべく多くのタイムポイントで、fcMRIデータおよび認知機能検査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年初頭に、3テスラMRI装置が病院建物の水漏れによって故障し稼働できなくなった。修理およびアップデートが完了したのは2014年1月であり、このために予定していた実験系の構築ができなかった。 当初の計画どおり、歩行機能(安定度)計測のシステムを構築する予定である。
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