研究課題
肺病変の三次元的診断の必要性の評価のため、臨床データベースから診断(悪性、良性)が確定できると思われる肺結節を検索した。これらの肺結節についてThin slice(0.5㎜厚)よりなる三次元データが得られた。結節の形状特徴として診断に一般に用いられている所見項目に対し、画像を三次元的に評価し、各結節の性状(全体形状、輪郭、内部性状など)を数値化して記録した。またこの観察に基づき推定される診断について記録した。これらの所見項目に対し横断像での評価をおこない、その結果と3次元画像による結節特徴、推定される診断の結果との違いを検討する。これにより診断における三次元画像の必要性について評価を行う。CT線量低減については、種々のアプローチが存在し、それらを組み合わせて適切に利用することが必要とされる。本研究開始後に報告された、あるいは実用化されたものを含めて文献調査、検討を行い、従来の方法との違い、有用性等に関しまとめて報告した。動態解析による診断的付加価値の検証につき、動態解析が可能なレベルまで線量を低減するための最適化検討を行い、CTにより呼吸運動を撮影するために適切な撮像法(時間、撮像間隔、撮像パラメータ)を設定した。また、肺実質の動態変化や異常を検出するのに適した肺実質構造の変位についての視覚的評価方法、コンピュータ解析を用いた定量化の方法について初期検討を加えた。さらに、肺病変に伴う長期的な肺実質、胸郭の変形を評価するための定量化方法について基礎的な検討を行った。
2: おおむね順調に進展している
三次元的データ収集による肺結節の診断的付加価値の検証に必要な症例データの集積は予定通り進行した。動態評価のためのデータ収集は実施に向けての初期的検討段階を終了して応用の段階にある。次年度以降に予定していたX線線量低減技術の有用性検証について予備的な検討がなされた。
26年度までに収集された胸部CTの三次元的データに対し、横断像で評価した結節特徴と横断像での評価により推定された診断結果の記録を行う。診断結果を三次元的観察による評価から推定された診断結果と比較する。結節特徴の各項目についても横断像での評価における結果を三次元画像の評価による結節特徴と比較する。これにより診断における三次元画像の有用性の有無について検討を行う。胸部検査一般における低線量CTの可能性については、低線量CTでの異常所見の検出能、診断について、低線量CTの診断結果と従来の胸部CTとの診断結果との対比から明らかにする。低線量CTを用いた動態解析による診断能向上については、26年度までの検討結果に基づき、経時的な形態の変化、肺の運動の動的な評価ができるデータの収集を行う。このデータを利用して肺の運動解析を低線量CTを用いて行う手法の確立を目指す。また、CTを用いた肺病変に伴う経時的な肺実質や胸郭の形態変化についての評価方法確立と、病態解析への応用を進める。
各研究項目の進行度を鑑み、解析に必要な設備取得の一部(データ処理用ワークステーション、ディスプレイ)などを平成27年度に行うことにより、より有効に助成金使用ができると判断したため、次年度使用額を上記のとおりとした。
設備取得の一部(データ処理用ワークステーション、ディスプレイ)を次年度使用分より支出することとする。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)
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